サマリー
◆足下までの経済統計は雇用環境が堅調さを維持するも、インフレは減速するというポジティブな結果となった。インフレが減速傾向を示す中で、1月31日・2月1日に開催予定の次回FOMCでは、利上げ幅が0.25%ptとさらに縮小することが見込まれる。金融引き締めの必要性が低下することで、景気の大幅な調整を経ずとも、インフレが減速していくソフトランディングへの期待が高まることになる。
◆ソフトランディングに向けた期待が高まる一方、ISM非製造業景況感指数が好不況の目安である50%を下回った。経験則に基づけば、ISM非製造業景況感指数が50%を下回る期間は、景気後退期であることがほとんどであり、近い将来の景気後退を示唆する「炭鉱のカナリア」が鳴き始めたといえる。
◆労働需要は既に減退している可能性があり、堅調とされる雇用環境が今後悪化する可能性は否定できない。そして、ISM非製造業景況感指数と連動性の高い実質個人消費に関しても、足下の消費関連統計は冴えず、先行きも消費を喚起するイベントの少ない上半期は消費行動が抑制されやすい。2月以降に公表される1月分の経済指標が引き続き悪化したり、雇用環境が悪化の兆しを示す場合には、ソフトランディングへの期待は裏切られることになるだろう。
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