米国経済見通し インフレ減速の期待高まる

しかし、FOMCは期待の高まり過ぎに対して警告を発する

RSS

2022年11月22日

サマリー

◆10月のCPIが市場予想を下回る軟調な結果となったことで、12月のFOMCでは利上げ幅が縮小するのではないかとの市場の期待が高まった。しかし、賃金上昇圧力は弱まりにくく、需要も依然底堅いことから、こうした市場の期待は楽観的過ぎるかもしれない。

◆FOMC参加者は市場の期待の高まりに対して警告を発し始めた。たとえ12月のFOMCで利上げ幅が縮小されたとしても、FOMC参加者の先行きのFF金利予想は市場の想定を超えてタカ派的なものとなる可能性がある。市場の期待が高ければ高いほど、タカ派的な結果が出た後の落胆は激しくなり、景気の下振れリスクとなり得る。ウォラーFRB理事が警告したように、市場が「深呼吸をして落ち着く」ことができるかが、インフレを抑制しつつ、景気が大崩れしないために重要になる。

◆11月8日に行われた米国連邦議会の中間選挙では、共和党が下院で4年ぶりに多数派を奪還した一方、上院は民主党が多数派を維持した。この結果、2023年1月から始まる第118議会は、上院と下院で多数派が異なるねじれ議会となる。

◆ねじれ議会は民主党・共和党間の政策調整が必要となり、法案成立の難易度は高まることになる。民主党がインフレ圧力を高め得る政策を志向することから、下院を主導する共和党がその歯止めをかけるという意味で、ねじれ議会はポジティブな側面も持つ。しかし、危機対応時の政策実現に時間を要し得ることや、2023年度本予算や政府債務上限問題を巡る不確実性を高めるというネガティブな側面も有する点に注意が必要だろう。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。