サマリー
◆2022年10月の雇用統計では、非農業部門雇用者数の伸びが市場予想を上回ったものの、失業率が上昇(悪化)した。また、レイオフと解雇による失業者がどちらも増加した一方で、非自発的パートタイム就業者は減少した。今回の雇用統計は好悪材料が入り交じる結果といえ、雇用環境が全般的に良好とはいいにくくなってきている。景気減速に応じて、雇用環境も徐々に悪化の兆しが見え始めているということだろう。また、賃金上昇率は前月比で加速し、総賃金も前月並みの伸び幅となった。最大の懸念材料であるインフレ加速に関しては、収束は見通せていない。ただし、前年比でペースダウンを強めている点はポジティブな結果である。
◆雇用環境の先行きに関しては、徐々に悪化の兆しが見え始めているが、労働需要が引き続き旺盛な中で急激に悪化することは考えにくい。労働需要に関しては、求人件数が失業者数を大きく上回っている状況は続いている。豊富な求人件数は雇用環境が急激に悪化しにくいことを意味する一方で、労働需給の緩和にも時間を要することも意味する。
◆金融政策運営に関して、11月のFOMCでは、景気減速などを考慮しながら先行きにおける利上げ幅縮小の可能性(ハト派的スタンス)が示唆された。足下で雇用環境の悪化の兆しが見え始めていることは、こうした利上げ幅縮小の動きと整合的である。他方、11月のFOMCでは、ターミナルレートが引き上げられる可能性(タカ派的スタンス)も指摘され、利上げ期間や引き締め的な金融環境が長期化する見込みが示された。労働需給の緩和に時間を要することが想定される足下の雇用環境を踏まえれば、利上げを継続することとも整合的である。好悪材料が入り交じる雇用統計の結果は、金融政策に対してハト派・タカ派のどちらのインプリケーションも有するといえよう。
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