失業率は3.6%とコロナ禍前並みまで低下

2022年3月米雇用統計:利上げのペース加速の障害にはならない

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2022年04月04日

サマリー

◆2022年3月の雇用統計では、非農業部門雇用者数が前月差+43.1万人となった。市場予想を下回ったものの、雇用環境の回復は継続した。失業率は同▲0.2%ptの3.6%となり、新型コロナウイルスの感染拡大が本格化する前(2020年2月)の水準である3.5%に肉薄した。雇用者数、失業率ともにまずまずの結果となったが、非自発的パートタイム就業者は2ヵ月連続で増加した点は気がかりである。

◆雇用環境の先行きについては、需給どちらも減速していくことが想定される。供給面に関しては、コロナ禍を契機に退職が進んだ高齢層に関しては再び職場復帰することは考えにくいだろう。また、企業の採用姿勢も更に積極化することは考えにくい。求人件数は依然高水準にあるが、足下は横ばいとなっており、企業マインド上でも雇用を拡大しようとしている企業の割合は低下傾向にある。そして、3月のFOMCで利上げフェーズへと移行したように、金融引き締めがタイムラグを伴って消費や投資を抑制し、景気全体が徐々に減速していくことも雇用環境の回復ペースを緩やかにするだろう。

◆金融政策への示唆として、今回の雇用統計の結果は5月3・4日のFOMCでの利上げの妨げにはならないだろう。むしろ、5月のFOMCで0.50%ptの利上げが実施されても驚きはない。また、市場は5月に続き、6月のFOMCでも0.50%ptの利上げを予想しており、利上げのペースアップを覚悟しているといえる。

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