サマリー
◆米中経済・貿易協定がワシントンで署名された。2018年から始まった米中貿易摩擦の激化は、一応の解決を見たこととなる。米中関係に依然懸案は残るが、2018-2019年のような追加関税の掛け合いは避けられるとみられ、米中貿易摩擦による企業マインドの下押し圧力は弱まるだろう。トランプ大統領にとって大統領選に向けた実績作りといえる。
◆トランプ大統領が選挙モードを強める一方、対抗馬を決める民主党候補者選は混戦模様である。アイオワなどのアーリー・ステイツでの主要候補者の支持率は拮抗している。これまでアーリー・ステイツで優勢となった候補者が候補者選を優位に進める傾向があるものの、今回の候補者選では割り当て代議員数の多いカリフォルニアでの予備選が3月3日に前倒しされるなど、日程が従来とは異なる。アーリー・ステイツで候補者が絞られるかはわからず、大勢が決まるまで時間を要する可能性があるだろう。
◆大和総研は2020年の米国の実質GDP成長率が前年比+2.0%と潜在成長率並みになると見込む。個人消費は緩やかに鈍化していく一方で、米中経済・貿易協定を背景に企業マインドは改善し、企業活動を支えると予想する。
◆他方で、協定では中国が2020-2021年の2年間の米国産品輸入額を、2017年の輸入額をベースに合計2,000億ドル以上増やすという野心的な目標も掲げられている。中国による米国産品の輸入拡大が履行できず、米中貿易摩擦が再燃し、制裁の発動やそれに伴う協定からの離脱といった展開が最大のリスクである。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日