サマリー
◆2020年11月3日に実施される大統領選挙まであと1年弱となり、選挙モードが本格化している。共和党はトランプ大統領が候補者として指名される見込みだが、民主党は理想(サンダース氏、ウォーレン氏)と現実(バイデン氏)の狭間で揺れ動いており、候補者の決定は予備選の後半まで長引く可能性がある。
◆他方で、トランプ大統領にとっても、大統領選挙に向けて悩みの種は尽きない。下院で進められている、トランプ大統領の弾劾調査はその種の一つである。無党派層が弾劾調査の結果に対して注目している中で、弾劾調査の行方次第では無党派層の取り込みに大きな影響を与えうるだろう。
◆また、米中関係を巡って、11月19日に上院、20日に下院で可決された香港人権法案もトランプ大統領にとって悩みの種である。米国内の世論が中国に対して強硬的である中、10日以内にトランプ大統領は香港人権法案に署名或いは拒否するかを決めなければならない。米中通商交渉の部分的合意の協定文書化に向けて、米中間の協議が続く中、トランプ大統領としては中国との間で緊張を高めたくないのが本音だろう。
◆中国は香港人権法案の可決に対して反発を強めており、米中通商交渉にも影響を及ぼしかねない。米中通商交渉が破談に終わり、12月の対中追加関税第4弾リストBが実施されれば、米国経済のけん引役である個人消費に悪影響を与えかねない点が最大のリスクといえる。米中ともに歩み寄りを進めるインセンティブを有するものの、米中関係を巡って再び翻弄される日々となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
米国、設備投資費用の即時償却を復活・拡張
製造業・情報産業の新規投資、及び対米直接投資の増加要因か
2025年10月07日
-
米国経済見通し 利下げ再開後の注目点は?
景気下振れリスクが懸念される時こそ、インフレ動向を注視すべき
2025年09月24日
-
FOMC 0.25%ptの利下げを決定
先行きの利下げペースに関しては予想がばらつく
2025年09月18日
最新のレポート・コラム
-
働く低所得者の負担を軽減する「社会保険料還付付き税額控除」の提案
追加財政負担なしで課税最低限(年収の壁)178万円達成も可能
2025年10月10日
-
ゼロクリックで完結する情報検索
AI検索サービスがもたらす情報発信戦略と収益モデルの新たな課題
2025年10月10日
-
「インパクトを考慮した投資」は「インパクト投資」か?
両者は別物だが、共にインパクトを生むことに変わりはない
2025年10月09日
-
一部の地域は企業関連で改善の兆し~物価高・海外動向・新政権の政策を注視
2025年10月 大和地域AI(地域愛)インデックス
2025年10月08日
-
政治不安が続くアジア新興国、脆弱な中間層に配慮した政策を
2025年10月10日
よく読まれているリサーチレポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
-
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
-
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日