FOMC 想定通り0.25%の利下げを実施
本格的な利下げサイクルの開始は否定も、幾分の緩和的な政策は必要
2019年08月01日
サマリー
◆2019年7月30・31日に開催されたFOMC(連邦公開市場委員会)では、政策金利であるFF(フェデラルファンド)レートの誘導目標レンジを、従来の2.25-2.50%から0.25%pt引き下げ、2.00-2.25%にすることが決定された。利下げの実施は2008年12月会合以来となる。また、3月19・20日のFOMCで公表された2019年9月末でのバランスシート縮小の停止に関しても、2ヵ月間前倒し、7月末で停止することが決定された。
◆今回のFOMCでの注目点は、更なる利下げ可能性に関するFRBのスタンスの行方であった。パウエル議長は、今回の利下げに関して、不確実性の高まりや世界経済の成長率鈍化を背景とした米国経済の下振れリスクと、低インフレ率に対応するために、保険的な利下げを行ったと述べている。つまり、保険的利下げである以上、景気後退を前提とした本格的な利下げサイクルの開始ではない。
◆他方で、パウエル議長は更なる幾分の緩和的な政策スタンスが必要である、と今後の保険的利下げの実施についても含みを残している。年内の更なる利下げの可能性を巡って、FRBから発せられるシグナルに注意を払う日々は続く。内需主導の底堅い拡大基調が続く米国経済を下振れさせるような、外部要因(世界経済の成長鈍化や、不確実性の高まり)の有無が、更なる利下げを実施する上ではポイントとなろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
2021年01月22日
金融商品の評価
金融商品の価値はどのように算定するのか?
-
2021年01月22日
2020年12月全国消費者物価
コアCPI変化率は約10年ぶりに▲1%台まで下落幅が拡大
-
2021年01月22日
家計の住宅ローンを点検する
近年の動向とコロナショックによる現時点での影響
-
2021年01月21日
2020年12月貿易統計
欧米での経済活動制限による需要減少を受け、輸出は足踏み
-
2021年01月21日
社外取締役に期待される役割の開示~改正会社法施行規則
よく読まれているリサーチレポート
-
2020年12月17日
2021年の日本経済見通し
+2%超の成長を見込むも感染状況次第で上下に大きく振れる可能性
-
2020年12月01日
2020年10月雇用統計
有効求人倍率が1年半ぶりに上昇
-
2020年11月20日
日本経済見通し:2020年11月
経済見通しを改訂/景気回復が続くも、感染爆発懸念は強まる
-
2020年08月14日
来春に改訂されるCGコードの論点
東証再編時における市場選択の観点からも要注目
-
2020年10月15日
緊急事態宣言解除後の地域別観光動向/Go To トラベルキャンペーンのインパクト試算
ローカルツーリズムが回復に寄与するも、依然厳しい状況が続く