サマリー
◆暫定予算の期限となる1月19日までに新たな予算の合意が得られなかったことから、連邦政府は2013年10月以来の政府閉鎖という事態に陥ることとなった。もっとも、週明けの1月22日には、2月8日までの継続予算決議が両党で合意され、政府閉鎖は短期間で終了する見込みが立ったことから、政府閉鎖が実体経済に及ぼす悪影響は、軽微なものに留まるとみられる。
◆今回の対応はあくまで暫定的なものにすぎず、財政運営を巡る不透明感が完全に払拭されたわけではない。今回、政府閉鎖に至った背景には、トランプ政権による移民政策に対する民主党の反発がある。移民を巡る問題が解決されない限り、次の期限のタイミングに再び政府閉鎖に陥る可能性は残されることになる。また、2018年3月頃には、債務上限の問題が再び控えている。
◆2017年10-12月期の実質GDP成長率は、前期比年率+2.9%と予測する。前期の同+3.2%からは伸び率が減速すると見込むが、GDPから在庫投資および純輸出を控除した国内最終需要は前期から大きく加速する可能性が高く、内容としてはむしろ良好な結果になろう。米国経済は足下まですこぶる堅調な状況が続いている。
◆政治の混乱が繰り返されることになれば、家計、企業のマインドが悪化し、実体経済にも悪影響を及ぼしかねない。税制改革によるプラスの効果も打ち消される可能性があり、引き続き政治動向には十分注意を払っていく必要があろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
米GDP 前期比年率+2.8%と加速
2024年4-6月期米GDP:内需主導での堅調さを維持
2024年07月26日
-
監査・ガバナンス強化へ回帰する英国
昨年撤回した監査強化方針を復活し、ガバナンス・コードも厳格化へ
2024年07月25日
-
女性がキャリアを築ける職場ほど、子どもを持ちやすい
健保組合ごとの被保険者・被扶養者の出生率と、その要因の多変量解析
2024年07月24日
-
GX経済移行債に期待されるインパクトレポーティング
~GXの理解醸成促進に向けて~『大和総研調査季報』2024年夏季号(Vol.55)掲載
2024年07月24日
-
盛り上がりに欠ける英国の政権交代
2024年07月26日
よく読まれているリサーチレポート
-
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
-
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
-
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日
「国債買入減額+利上げ」だけで長期金利は2%超えか
シナリオ別に見た日銀の国債買入減額による長期金利への影響試算
2024年06月12日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第221回日本経済予測(改訂版)
賃上げ・物価高の先にある経済の姿と課題は?①賃上げ効果、②貿易デジタル赤字、③トランプリスク、を検証
2024年06月10日
「事業性融資の推進等に関する法律案」概要
事業性に着目した企業価値担保権の創設
2024年05月30日
バーゼルⅢ最終化による自己資本比率への影響の試算
標準的手法採用行では、自己資本比率が1%pt程度低下する可能性
2024年02月02日