サマリー
米国の超党派シンクタンクであるTax Policy Centerをはじめとして、先に成立した米国の税制改革の米国景気刺激効果は小さいという評価が今のところ優勢である。家計関連では、限界消費性向が低い富裕層により大きな恩恵があること、企業関連では総じて緩和的な金融環境が継続し、潤沢なキャッシュフローを抱える企業が多い中、その追加的な増加が設備投資を刺激する効果は低いとみられることなどが主たる根拠である。しかし、このところ、気になる報道が増えている。アップルが300億ドルを米国内で投資し、雇用を拡大すると伝えられている他、ウォルマートやAT&Tは社員に1,000ドルの一時金を支給、ウォルマートなどは最低賃金も引き上げるという。こうした動きが相次げば、税制改革の景気刺激効果は無視できなくなる。ただし、これは必ずしも望ましいこととは限らない。米国経済の拡大期間は昨年12月で102カ月を数え、労働市場は完全雇用近傍のひっ迫した状況にある。こうした中で、政府は賃金引き上げの原資と根拠を企業に与えたわけであり、これが一般物価の上昇と想定以上のペースでのFRBによる金利引き上げ、ひいては景気拡大の終焉のきっかけになる可能性がある。上記のようなミクロ的な動きがマクロ的に意味を有する集積に発展するのかに、当面注意が必要だろう。
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