雇用者数の伸びは+21.1万人に再加速

2017年4月米雇用統計:失業率は4.4%に低下も、賃金上昇は緩慢

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2017年05月08日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年4月の非農業部門雇用者数は前月差+21.1万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+19.0万人)を上回る良好な結果となった。非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均は同+17.4万人となり、2ヵ月連続で伸びが鈍化したものの、均して見れば底堅い雇用者数の増加が続いている。


◆4月の失業率は前月から▲0.1%pt低下の4.4%となり、2007年5月以来の低水準を記録した。失業率はすでに自然失業率に迫る水準まで低下している中で、労働需給のタイトさが一層増す結果となった。


◆非労働力人口が前月差+16.2万人増加したことで、労働参加率は同▲0.1%ptと5ヵ月ぶりに低下した。労働参加率の低下を踏まえると、今回の失業率の低下は必ずしもポジティブとは言えない。しかし、均して見た労働参加率の持ち直し自体は続いており、労働参加率の低下を過度に悲観的に捉える必要もないだろう。


◆4月の民間部門の平均時給は前月から7セント上昇、前月比+0.3%となり、市場予想通りの結果となった。しかし、民間部門時給の前年比変化率は+2.5%と2ヵ月連続で上昇幅が縮小した。失業率の低下傾向が続き、労働需給のひっ迫感が強まる中でも、このところ賃金上昇率は頭打ちとなっている。


◆雇用を取り巻く環境は底堅く、先行きも改善基調が続くと見込む。1-3月期の実質GDPは個人消費の減速を主因に低成長に留まったが、暖冬や税還付の遅れといった一時的要因を考慮すると、4-6月期には景気が再加速する可能性が高く、労働需要は増加が続くとみられる。他方で、労働供給不足が雇用者数増加のボトルネックになるリスクは上昇している。毎月20万人を上回るような雇用者数の伸びを維持することは困難になりつつあると考えられる。

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