非農業部門雇用者数は+10万人割れに減速

2017年3月米雇用統計:一方で失業率は2007年以来の低水準に

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2017年04月10日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2017年3月の非農業部門雇用者数は前月差+9.8万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+18.0万人)を大幅に下回る期待外れの結果となった。非農業部門雇用者数増減の3ヵ月移動平均も同+17.8万人と、均して見た雇用者数の増加ペースは底堅い状況が続いているものの、3ヵ月ぶりに伸びが鈍化した。


◆非農業部門雇用者数が10万人を下回る低い伸びとなる一方で、3月の失業率は前月から▲0.2%pt低下の4.5%と、2007年5月以来の低水準を記録した。失業率はすでに自然失業率に迫る水準まで低下しているとみられ、労働需給が引き続きタイトな状況にあることが確認された。


◆3月の民間部門の平均時給は前月から5セント上昇、前月比+0.2%となり、市場予想通りの結果となった。また、民間部門時給の前年比変化率も+2.7%と市場予想通りの結果となった。前月の同+2.8%から上昇幅がわずかに縮小しており、失業率が低下し労働需給のひっ迫感が強まる中でも賃金の加速は見られなかった。


◆雇用を取り巻く環境は底堅く、先行きに関して悲観的になる必要はないと考える。ISM景況感指数に見る企業マインドは、3月は製造業、非製造業ともに前月から悪化したが、それでもなお高い水準を維持している。企業による労働需要が足下で急速に縮小しているとは考え難い。


◆他方、労働供給不足によって雇用者数の増加ペースが鈍化する可能性には注意が必要であろう。完全雇用が近づく中、毎月20万人を上回るような雇用者数の伸びを維持することは困難になりつつあると考えられる。

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