サマリー
◆2017年2月の非農業部門雇用者数は前月差+23.5万人となり、市場予想(Bloomberg調査:同+20.0万人)を上回った。2ヵ月連続で同+20万人を上回る伸びとなったのに加えて、3ヵ月移動平均を見ても同+20.9万人と2ヵ月連続で増加幅が拡大しており、雇用者数の増加ペースは足下で持ち直している。
◆2月の失業率は4.7%と前月差▲0.1%pt低下し、市場予想通りの結果となった。非労働力人口は同▲17.6万人減少し、失業率を押し上げる要因となったが、就業者数が前月差+44.7万人増加したことが失業率を押し下げた。失業者数は同▲10.7万人と3ヵ月ぶりの減少に転じており、総じて良好な内容であったと評価できる。
◆2月の民間部門の平均時給は前月比+0.2%となり、市場予想(同+0.3%)を下回る結果となった。ただし、前月分の上方修正を踏まえれば、概ね市場予想に沿った結果と言える。民間部門時給の前年比変化率は+2.8%と、前月の同+2.6%から上昇幅が拡大しており、賃金上昇圧力の高まりを確認させる結果となった。
◆労働市場は、先行きについても改善基調が続くと見込む。企業部門の実体面での改善は緩慢であるものの、企業マインドは足下で改善傾向を強めており、企業による労働需要は底堅いと考えられる。しかし、労働供給不足が雇用者数増加のボトルネックになると見込まれる。労働参加率の上昇が続けば雇用者数の増加余地は拡大することになるが、それでも増加ペースは鈍化していく公算が大きい。
◆今回の雇用統計では、雇用者数の堅調な増加と賃金上昇率の再加速が確認され、3月14日~15日のFOMC(連邦公開市場委員会)での追加利上げを後押しする結果となった。金融市場は追加利上げを十分に織り込んでおり、3月のFOMCでは追加利上げが決定される可能性が非常に高い。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+13.9万人
2025年5月米雇用統計:緩やかな悪化に留まっていることを示唆
2025年06月09日
-
米国経済見通し 米中デタントも、景気は減速へ
財政悪化と学生ローン政策の変更が景気を一層減速させるリスク要因
2025年05月23日
-
FOMC 様子見姿勢を強調
景気・インフレに加え、金融環境の変化が利下げのタイミングを左右
2025年05月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日