サマリー
◆8月の非農業部門雇用者数は前月から+17.3万人の増加となり、市場予想(Bloomberg調査:+21.7万人)を下回った。一方、過去分については6月、7月の合計で+4.4万人上方修正され、基調についてはむしろ堅調さを増した印象である。単月で増勢が鈍化している点については、先行きも含めて慎重に見る必要があるが、過度に悲観視する必要はないだろう。
◆8月の失業率は5.1%で前月から▲0.2%pt低下し、市場予想(Bloomberg調査:5.2%)を上回る改善となった。失業率は2008年4月以来の低水準となり、CBO(議会予算局)が推計する自然失業率(5.06%)に迫る水準まで低下したことになる。
◆民間部門の平均時給は前月比+0.3%となり、市場予想(Bloomberg調査:前月比+0.2%)を上回った。しかし、前年比で見た時給変化率は+2.2%と前月から変わらず、直近のピークである4月、5月の+2.3%を下回った状態である。労働需給がタイト化する中でも、賃金上昇はなかなか加速しない状況が続いている。
◆8月の雇用統計は、強弱入り混じる内容であったものの、労働市場の量的改善が続いていることが確認され、FRB(連邦準備制度理事会)による9月利上げ開始の可能性は幾分高まったと言えよう。ただし、大和総研では以前より議会スケジュール等を踏まえて12月の利上げ開始をメインシナリオとしており、この見方に変更はない。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
非農業部門雇用者数は前月差+2.2万人
2025年8月米雇用統計:雇用環境の悪化が継続し、利下げが近づく
2025年09月08日
-
米国経済見通し 景気下振れの懸念強まる
雇用環境が悪化傾向を示す中、屋台骨の個人消費は楽観しづらい
2025年08月22日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日