サマリー
◆2023年4-6月期のGDP1次速報の公表を受け、経済見通しを改訂した。メインシナリオにおける実質GDP成長率は23年度+2.1%、24年度+0.8%(暦年ベースでは23年+2.2%、24年+0.9%)と見込む。
◆2023年度の日本経済は、経済活動の正常化や賃上げの加速、緩和的な財政・金融政策などが下支え要因となり、物価高の下でも景気回復が継続しよう。足元では自動車の挽回生産が本格化している。急回復が続くインバウンドでは、団体旅行の解禁で中国人訪日客の本格回復が視野に入った。また、2022年度の円安は経済活動の正常化が遅れたことで「悪い円安」だったといえるが、2023年度は「良い円安」に転じたとみられる。
◆一方で2024年度は好材料に乏しい。経済活動の正常化は一巡し、交易損失の縮小も落ち着くとみられる。欧米が利下げ局面に入る見込みであることやシリコンサイクルの持ち直しは景気の押し上げ要因となり得るが、海外景気の下振れリスクには警戒が必要だ。日米の金融政策の方向性の転換で円高が進む可能性もある。
◆当社メインシナリオでは、基調的なインフレ率は予測期間中に2%に届かず、現在の金融緩和策の枠組みは維持されると想定している。ただし、賃金の上昇圧力が一段と強まり、基調的なインフレ率の上昇ペースが想定を上回れば、2024年度前半にも長短金利操作(YCC)の撤廃に踏み切る可能性がある。
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