日本経済見通し:日銀によるマイナス金利導入の影響をどう捉えるか?

海外発で日本経済の下振れリスクが強まる

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2016年02月24日

  • 調査本部 副理事長 兼 専務取締役 調査本部長 チーフエコノミスト 熊谷 亮丸
  • 金融調査部 主任研究員 長内 智
  • 岡本 佳佑
  • 小林 俊介
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 久後 翔太郎
  • 永井 寛之

サマリー

海外発で景気下振れリスクが強まる:2015年10-12月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.7%(前回:同+1.0%)、2016年度が同+0.9%(同:同+1.5%)、今回新たに予測した2017年度が同▲0.1%である。足下で日本経済は踊り場局面が継続しているものの、先行きに関しては、①在庫調整の進展、②原油安、③実質賃金の増加、④補正予算の編成、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう(→詳細は、熊谷亮丸他「第188回 日本経済予測」(2016年2月23日)参照)。


日銀によるマイナス金利導入の影響をどう捉えるか?:日本に先駆けて導入された、欧州のマイナス金利は、実体経済に直接的な好影響を与えたとは明言し難いものの、金融市場には一定のインパクトを与え、株高による資産効果や通貨安による輸出増などを通じて、間接的に実体経済を押し上げたとみられる。しかし、日本においてはマイナス金利導入後、折悪しく、世界経済の先行き不透明感が強まったため、株高や通貨安が示現しておらず、現時点では、欧州で見られた、金融市場を通じた経済に対する間接的な押し上げ効果は期待しづらくなっている。他方、当社の試算では、金利の低下は金融機関や企業、家計といった民間部門に恩恵をもたらす。金融機関には国債売却益の増加、企業や家計にとっては貸出金利や住宅ローン金利の低下が好影響を与えると予想される。

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