サマリー
◆海外発で景気下振れリスクが強まる:2015年10-12月期GDP一次速報の発表を受けて、経済見通しを改訂した。改訂後の実質GDP予想は2015年度が前年度比+0.7%(前回:同+1.0%)、2016年度が同+0.9%(同:同+1.5%)、今回新たに予測した2017年度が同▲0.1%である。足下で日本経済は踊り場局面が継続しているものの、先行きに関しては、①在庫調整の進展、②原油安、③実質賃金の増加、④補正予算の編成、などの国内要因が下支え役となり、緩やかに回復する見通しである。ただし、中国を中心とする海外経済の下振れリスクには細心の注意が必要となろう(→詳細は、熊谷亮丸他「第188回 日本経済予測」(2016年2月23日)参照)。
◆日銀によるマイナス金利導入の影響をどう捉えるか?:日本に先駆けて導入された、欧州のマイナス金利は、実体経済に直接的な好影響を与えたとは明言し難いものの、金融市場には一定のインパクトを与え、株高による資産効果や通貨安による輸出増などを通じて、間接的に実体経済を押し上げたとみられる。しかし、日本においてはマイナス金利導入後、折悪しく、世界経済の先行き不透明感が強まったため、株高や通貨安が示現しておらず、現時点では、欧州で見られた、金融市場を通じた経済に対する間接的な押し上げ効果は期待しづらくなっている。他方、当社の試算では、金利の低下は金融機関や企業、家計といった民間部門に恩恵をもたらす。金融機関には国債売却益の増加、企業や家計にとっては貸出金利や住宅ローン金利の低下が好影響を与えると予想される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
-
主要国経済Outlook 2025年9月号(No.466)
経済見通し:世界、日本、米国、欧州、中国
2025年08月25日
-
マーケットは堅調も、米国経済の不透明感は増す
2025年08月25日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日