M&A市場動向四半期レポート

~2026年度第1四半期レビュー~

RSS
  • コーポレート・アドバイザリー部 主席コンサルタント 吉田 信之
  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 柄澤 悠
  • コーポレート・アドバイザリー部 主任コンサルタント 張 暁光
  • コーポレート・アドバイザリー部 コンサルタント 道津 多恵子

サマリー

◆2026年度第1四半期 のM&A取引件数は1,352件と前年同期から微増し、3年連続の増加となった。取引金額は5.9兆円と、超大型案件が集中した前年同期の反動で減少したものの、過去5年間の第1四半期としては2番目に高い水準を維持した。もっとも、上位10案件が取引金額全体の約5割を占めており、四半期ごとの金額動向は少数の大型案件の有無に左右されやすい点には留意が必要である。

◆当四半期の最大の特徴は、OUT-IN案件の拡大である。取引件数は127件、取引金額は2.0兆円と、いずれも過去5年間の第1四半期として過去最高を記録した。背景には、円安の長期化、コーポレートガバナンス改革の進展、買収提案への対応規律の浸透などがある。加えて、OUT-IN案件の60.6%にPEファンドが関与しており、海外から日本企業への投資において、PEファンドが一定の存在感を示していることが窺える。

◆TOB件数は30件と前年同期から減少したものの、買付期間が30営業日以上の案件が約7割を占めるなど、こうした買付期間の設定状況からは、株主に判断機会を確保しようとする実務が広がっていることが窺える。価格条件と手続の公正性の双方を踏まえ、取引実行の円滑性と少数株主保護とのバランスをどのように評価するかは、今後の重要な論点となろう。

◆ミニマムタックス制度の見直しは、オーナー企業の事業承継型M&Aにおける売却タイミングの検討や条件交渉に影響を与える可能性があり、今後の動向が注目される。

このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。

同じカテゴリの最新レポート

関連のサービス