退職給付制度を人的資本経営につなげる退職率分析

~人事データで離職・定着の構造を読み解く~

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  • データアナリティクス部 主任コンサルタント 逢坂 保一

サマリー

◆本稿は、人的資本経営の観点から退職給付制度を捉え直し、既存の人事データを用いた退職率分析が、人材の離職・定着の状況を把握するうえでどのような役割を果たすのかを整理するものである。

◆退職率分析は、既存の人事データだけでも基礎的な分析が可能である一方、年齢別集計やクロス集計では、分析軸を増やすほど各区分の人数が少なくなり、退職率が偶然の影響で大きく振れやすくなるという限界がある。

◆そこで本稿では、複数の要素を同時に考慮して退職率の構造を捉える方法として一般化加法モデル(Generalized Additive Model:GAM、以下「GAM」)を取り上げる。GAMを用いることで、年齢だけでなく勤続年数、等級、採用区分、職種等を踏まえ、退職の起こりやすさそのものの変化と、人員構成の変化による見かけ上の変化を区別して検討するための材料を得ることができる。

◆退職率分析は、人材戦略との整合、従業員への周知、効果の定量的な把握という3つの視点に沿って活用できる。同じ分析結果であっても、視点によって読み方は異なり、何を確認したいのかを明確にしたうえで、対象の選び方、立てる問い、および次の一歩を整理することが重要である。

◆もっとも、退職率分析だけでは、退職理由そのものや施策との因果関係までは判断できない。分析結果を出発点として、退職者分析、面談、従業員アンケート等の定性的な情報と組み合わせ、退職給付制度と人材戦略の関係を継続的に点検していくことが求められる。

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