サマリー
◆2025年3月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+3.9%と6カ月連続で増加した一方、季節調整値では前月比▲3.8%と2カ月ぶりに減少した。輸入金額は前年比+2.0%と2カ月ぶりに増加し、季節調整値でも前月比+0.6%と2カ月ぶりに増加した。これを受け、貿易収支は+5,441億円、季節調整値では▲2,336億円となった。また2024年度の貿易収支は▲5兆2,217億円と4年連続の赤字となった。
◆2025年1-3月期の実質GDP成長率における外需寄与度はマイナスを見込む。財貨の実質輸出は前期比+0.9%、実質輸入は同+2.3%と試算される。実質GDP成長率における外需寄与度は3月の国際収支統計の結果次第ではあるものの、前期に減少した輸入が増加に転じ、外需寄与度を押し下げる姿が予想される。
◆2025年3月の輸出数量は前月比▲2.7%と2カ月ぶりに減少した。自動車関連財(自動車、同部分品、原動機等)や集積回路(IC)を中心に幅広い品目が減少した。「相互関税」や自動車関税に向けた顕著な駆け込みの動きは見られなかった。地域別では、EU向け(同+1.0%)は増加した一方、米国向け(同▲6.3%)、アジア向け(同▲1.5%)は減少した。アジア向けのうち中国向け(同▲5.7%)も減少した。
◆先行きの輸出数量は減少基調に転じる可能性がある。米国の日本に対する関税率の引き上げに加え、米国と各国・地域との間で関税率が引き上げられることで世界経済が悪化するという2つの経路から、輸出への下押し圧力がかかる。そのため、輸出数量の先行きは、米国向けのみならず、欧州向け、中国向けも減少基調に転じる可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
米国による25%の自動車関税引き上げが日本経済に与える影響
日本の実質GDPを0.36%押し下げる可能性
2025年03月27日
-
「相互関税」一部停止の日本経済への影響
対中関税が大幅増になるも実質GDPの下押し幅は最大で0.6%に縮小
2025年04月10日
-
米国による半導体への関税率引き上げが日本・世界経済に与える影響
日本の実質GDPを0.05%、世界のGDPを0.06%押し下げる可能性
2025年04月15日
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日