サマリー
◆近年、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉進展を中心に日本を取り巻く経済安全保障の強化が加速している。IPEFにおける4つの交渉分野のうち3つが署名・発効に至っており、残る「貿易」分野では貿易手続き負担の軽減などについて交渉の進展があったという。仮に日本の貿易関連手続きにかかる負担が米国並みに低下すれば、マクロでは金額に換算して年間1兆円程度の輸出コストの低下につながる。
◆もっとも、米大統領選でトランプ氏が勝利すれば、米国がIPEFから脱退する可能性が高い。この場合はIPEF参加国の経済規模の合計額が半分以下となり、IPEFの有効性は大幅に損なわれる。またハリス氏が勝利した場合においても、「貿易」分野の交渉に含まれるデータ管理に関する項目が足かせとなり、完全妥結には時間を要するとみられる。
◆トランプ氏が掲げる高水準の関税が実現すれば、日本の輸出企業の収益性が低下する半面、より高い関税率に直面する中国企業から輸出シェアを獲得する機会が生じる。とりわけ、一般機械や金属製品などの業種では相対的に輸出シェアが拡大しやすいだろう。他方、高関税による悪影響が比較的小さい米企業との競争激化には要注意だ。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(3/18~4/14発表統計)
2026年04月14日
-
インバウンドに忍び寄る外部ショック
中国人旅行客減少下でも堅調だが、中東情勢緊迫化の影響に要注意
2026年04月09日
-
日本は国際的な人材獲得競争で勝てるのか
外国人労働者の増加継続を見込むも経済下振れと円安がリスク要因
2026年04月07日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
-
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
-
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
-
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
-
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日
米国:AIブームの裏側で高まる金融リスク
ITセクターの収益懸念が揺らすプライベート・クレジット市場
2026年03月13日
超富裕層の株式譲渡所得への税率はミニマムタックス込みで最高35.63%に
2026年度税制改正大綱解説(3)富裕層課税(ミニマムタックス)
2026年02月09日
中東情勢緊迫化が日本経済の下振れリスクに
原油価格100ドル/バレルで26年度の実質GDP成長率は▲0.2%pt
2026年03月02日
ガバナンス・コード改訂による取締役会等機能強化
取締役事務局の役割を列挙、保有現預金の検証、「コーポレートセクレタリー」への言及など
2026年03月11日
「SaaSの死」は何を意味するのか?
AIエージェントが促すSaaS業界の構造変化、経済社会・雇用への波及
2026年03月03日

