経済安全保障の新局面における注目点①

厳しい対中輸出管理を実施すれば、国内回帰が進んでもGDPは下振れ

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2024年09月06日

サマリー

◆日本の経済安全保障政策は、「守り」の政策から「攻め」の政策へと転換するなど新たな局面に入った。今後注目されるのは、非先端の半導体製造装置の輸出管理をはじめとする日本の対外規制の強化だ。また、米政府が対中規制強化の理由の一つに挙げたウクライナ問題や、日米などの対中規制に対する中国政府の反応も注視すべきだろう。

◆仮に日本が厳しい対中輸出管理や対中投資規制を実施すれば、輸出が年間で2兆円超減少するのみならず、中国現地法人の収益面に悪影響が及ぶと試算される。また対中投資規制によって日本企業の国内回帰が発生しても、厳しい輸出管理下では、日本が中国向けの販売拠点にならないため、国内回帰による経済効果の大部分は失われるとみられる。

◆今後、日本は輸出管理の範囲を必要最小限にとどめ、国内回帰の促進との両立を目指すことが望ましい。第三国に資本を移す企業も多いとみられることから、直接投資収益率が比較的高く、地政学リスクが小さいASEANなどへの資本移管を後押しすることも有効だ。この点、交渉が進むインド太平洋経済枠組み(IPEF)の活用がカギを握る。

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