サマリー
◆2024年6月の生産指数は前月比▲3.6%と、2カ月ぶりに低下した。自動車工業が工場稼働停止などの影響で低下し、全体を押し下げた。また、生産用機械工業では半導体製造装置、電子部品・デバイス工業ではモス型IC(メモリ)が減産となり、半導体関連財の生産の落ち込みが目立った。このところ急激に増加していたこともあり、反動減が表れた可能性がある。
◆先行きの生産指数は、緩やかな上昇基調を辿るとみている。自動車の生産体制の正常化で、受注残に対応するための挽回生産が見込まれる。また、シリコンサイクル(世界半導体市場に見られる循環)の回復局面入りで、半導体関連財の生産増加も押し上げ要因となる。ただし、輸出管理規制の強化によって、中国での半導体関連財の販売額が落ち込み、日本の生産指数を下押しするリスクには注意が必要だ。
◆2024年8月7日に公表予定の6月分の景気動向指数は先行CIが前月差▲2.4ptの108.8、一致CIが同▲3.4ptの113.7と予想する。この予測値に基づくと、6月の基調判断は機械的に「下げ止まりを示している」に据え置かれる。
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