サマリー
◆2024年6月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+13%pt(前回差+2%pt)、大企業非製造業では+33%pt(同▲1%pt)となった。後者の悪化は、新型コロナウイルス感染拡大で経済活動が厳しく抑制された2020年6月以来だ。
◆大企業製造業では素材業種の業況判断DI(最近)が幅広く上昇した。サプライチェーンの川上に位置する業種で一段と価格転嫁が進んだとみられる。他方、「鉄鋼」(前回差▲16%pt)は大幅に低下した。加工業種では、円安の恩恵もあって輸出比率の高い業種が上昇した。「自動車」(同▲1%pt)は6月3日に公表された認証不正問題もあって低下したとみられるが、低下幅はわずかだった。大企業非製造業では「小売」(同▲12%pt)の業況判断DI(最近)が大幅に低下した。個人消費の低迷に加え、時間外労働の上限規制適用開始を背景とした輸送費の増加などが収益を圧迫しているとみられる。また、訪日外客数の増加ペースの鈍化も企業マインドを悪化させたとみられ、インバウンド需要の影響を受けやすい「対個人サービス」(同▲4%pt)や「宿泊・飲食サービス」(同▲3%pt)も低下した。
◆2023年度の全規模全産業の設備投資計画(含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+10.6%であり、製造業が同+6.7%、非製造業が同+12.8%となった。2024年度では同+8.4%であり、とりわけ製造業では6月調査として高めの数値が示された。コロナ禍や物価高で企業が先送りしてきた更新投資や能力増強投資、人手不足に対応するための省力化投資などの需要が蓄積しているとみられる。他方、非製造業では設備の不足感が強い中でも設備投資計画は控えめだった。
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