サマリー
◆2023年12月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+12%pt(前回差+3%pt)、大企業非製造業では+30%pt(同+3%pt)となった。
◆大企業製造業では、「金属製品」(前回差+17%pt)や「非鉄金属」(同+15%pt)で業況判断DI(最近)の大幅な上昇が見られた。「自動車」(同+13%pt)での挽回生産が関連業種に波及している可能性がある。大企業非製造業では、「不動産」(同+10%pt)や「通信」(同+9%pt)で業況判断DI(最近)が上昇した。加えて、国内経済活動の正常化の進展やインバウンド消費の増加が、「宿泊・飲食サービス」(同+7%pt)、「対個人サービス」(同+4%pt)、「小売」(同+2%pt)の業況判断DI(最近)を押し上げた。
◆最近の交易条件(販売価格判断DIと仕入価格判断DIの差)を見ると、大企業製造業では悪化した一方、同非製造業では改善している。先行きに関しては、製造業・非製造業とも悪化する見込みだ。大企業ではこれまでの急速なコスト増を販売価格へ転嫁する動きが一巡しつつある。中小企業では製造業・非製造業を問わず、交易条件が最近と先行きの双方で改善している。大企業と比較しても中小企業の雇用の不足感の強まりは顕著だ。人手不足対応での賃上げを販売価格に転嫁する動きがとりわけ中小企業において強まっている可能性がある。
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