サマリー
◆2023年12月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+9.8%と2カ月ぶりに増加し、季節調整値では前月比+5.8%と3カ月ぶりに増加した。主因は自動車輸出の復調だ。輸入金額は前年比▲6.8%と9カ月連続で減少したが、中東情勢の緊迫化による資源価格の上昇もあって減少幅は縮小しつつある。季節調整値では前月比+6.2%となった。貿易収支は+621億円と3カ月ぶりの黒字、季節調整値では▲4,127億円の赤字だった。
◆2023年の輸出金額は前年比+2.8%となった。自動車の挽回輸出が本格化し、輸出金額を同+4.3%pt押し上げた。他方、輸入金額は同▲7.0%となった。資源高の一服の影響が色濃く表れた。貿易収支は▲9兆2,914億円と、2022年(▲20兆3,295億円)から赤字幅が大きく縮小した。なお、2023年10-12月期の実質GDP成長率における外需寄与度は小幅なプラスを見込む。財の純輸出は7-9月期から悪化したとみられるが、サービスの純輸出の増加がこれを補うとみている。
◆2023年12月の輸出数量は前月比+7.8%と3カ月ぶりに増加した。米国向けを中心に自動車輸出が大きく増加した。地域別に見ると、米国向け(同+15.5%)、EU向け(同+10.3%)、アジア向け(同+1.6%)のいずれも増加に転じた。
◆2024年の輸出数量は当面は横ばい圏で推移した後、年後半にかけて増加基調に転じるとみている。自動車の挽回輸出の加速が一服したことに加え、米欧の景気減速もあって、短期的には日本からの輸出が伸び悩むだろう。
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