サマリー
◆2023年11月の貿易統計によると、輸出金額は前年比▲0.2%と3カ月ぶりに減少し、季節調整値で見ると前月比▲1.8%と2カ月連続で減少した。トヨタ自動車の一部工場の稼働停止による自動車輸出の減少を主因に、輸出の実勢を表す数量指数が低調となった。輸入金額は前年比▲11.9%と8カ月連続で減少したが、地政学リスクの高まりによる原油価格の高騰もあって減少幅は縮小しつつある。季節調整値では前月比▲2.7%となった。これを受け、貿易収支は▲7,769億円と2カ月連続の赤字となった。季節調整値では▲4,089億円と、赤字幅の縮小ペースが鈍化している。
◆11月の輸出数量は前月比▲5.6%と2カ月連続で減少した。幅広い地域向けで自動車輸出が減少した。地域別に見ると、米国向け(同▲8.9%)、EU向け(同▲8.9%)、アジア向け(同▲4.9%)のいずれも減少した。
◆先行きの輸出数量は均して見れば横ばいで推移するとみている。自動車の挽回輸出の加速が一服したことに加え、世界経済の減速によって輸出全体が伸びにくい状態となろう。米国の個人消費や欧州景気の減速が中国の景気回復の影響を相殺し、日本から見た外需は伸び悩むとみている。
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