縮小する労働供給の増加余地

人口減少の影響が顕在化する中で多様な就業ニーズへの対応強化を

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2024年03月18日

サマリー

◆労働需給がひっ迫する中、企業による人手確保への取り組みが加速している。背景には、労働供給の増加余地の縮小があるとみられる。「潜在労働力人口」(=就業者+需要不足失業者+非労働力人口のうち就業希望者)と就業者数の差にあたる「余剰労働力」は2023年で約230万人であり、この20年間で400万人近く減少した。

◆余剰労働力の減少は、労働需要の拡大だけでなく、官民による仕事と家事・育児の両立支援策などのもとで、女性が結婚や出産・育児を機に労働市場から退出するケースが少なくなったことを反映している。女性の就業継続が進展したことで、生産年齢人口の減少が続く中でも就業者数は増加した。

◆余剰労働力の減少は、労働供給の増加余地がすでに縮小していることを意味する。就業者数は、今後5年をかけて余剰労働力が全て就業した場合で10年後に、最大限とみられる女性就労の進展を想定する場合でも15年後に2023年の水準を下回る。企業は多様で柔軟な働き方を実現し、賃上げを含む従業員の処遇改善に積極的に取り組んでいくことが継続的な課題となりそうだ。

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