2023年10月貿易統計

円安や原油価格の上昇により貿易収支が悪化

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2023年11月16日

サマリー

◆2023年10月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+1.6%と2カ月連続で増加した。他方、季節調整値で見ると前月比▲1.2%となった。挽回生産による自動車輸出の加速が一服した。輸入金額は前年比▲12.5%と7カ月連続で減少したが、地政学リスクの高まりによる原油価格の高騰もあって減少幅は縮小した。季節調整値では前月比▲0.7%となった。これを受け、貿易収支は▲6,625億円と2カ月ぶりの赤字となった。季節調整値では▲4,620億円と、交易条件の悪化により赤字幅が拡大した。

◆10月の輸出数量は前月比▲1.1%と2カ月ぶりに減少した。アジア向けの集積回路(IC)や中国向けの半導体等製造装置が減少したことに加え、自動車輸出の押し上げ幅が限定的であった。地域別に見ると、米国向け(同+4.4%)が増加した一方、EU向け(同▲8.5%)やアジア向け(同▲4.3%)は減少した。

◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調が続くとみている。米国での個人消費の底堅さや中国の景気回復の加速を背景に、幅広い財の輸出増が見込まれる。挽回生産の継続で自動車輸出が高水準で推移することも下支え要因となろう。他方、米欧ではタイトな金融環境の下で企業の設備投資が下振れしていることから、同国・地域向けの資本財輸出については当面低迷が見込まれる。

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