サマリー
◆2023年10月の貿易統計によると、輸出金額は前年比+1.6%と2カ月連続で増加した。他方、季節調整値で見ると前月比▲1.2%となった。挽回生産による自動車輸出の加速が一服した。輸入金額は前年比▲12.5%と7カ月連続で減少したが、地政学リスクの高まりによる原油価格の高騰もあって減少幅は縮小した。季節調整値では前月比▲0.7%となった。これを受け、貿易収支は▲6,625億円と2カ月ぶりの赤字となった。季節調整値では▲4,620億円と、交易条件の悪化により赤字幅が拡大した。
◆10月の輸出数量は前月比▲1.1%と2カ月ぶりに減少した。アジア向けの集積回路(IC)や中国向けの半導体等製造装置が減少したことに加え、自動車輸出の押し上げ幅が限定的であった。地域別に見ると、米国向け(同+4.4%)が増加した一方、EU向け(同▲8.5%)やアジア向け(同▲4.3%)は減少した。
◆先行きの輸出数量は緩やかな増加基調が続くとみている。米国での個人消費の底堅さや中国の景気回復の加速を背景に、幅広い財の輸出増が見込まれる。挽回生産の継続で自動車輸出が高水準で推移することも下支え要因となろう。他方、米欧ではタイトな金融環境の下で企業の設備投資が下振れしていることから、同国・地域向けの資本財輸出については当面低迷が見込まれる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年9月貿易統計
堅調な輸出を背景に貿易赤字(季節調整値)の縮小が進む
2023年10月19日
-
2023年8月貿易統計
半導体製造装置の輸出管理強化の影響が全面的に表れ輸出金額は減少
2023年09月20日
-
2023年7月貿易統計
輸入価格が下げ止まり貿易赤字(季節調整値)は前月から横ばいに
2023年08月17日
同じカテゴリの最新レポート
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
2025年12月日銀短観予想
輸出不振や原材料高で製造業の業況判断DI(最近)は悪化を見込む
2025年12月10日
-
2025年7-9月期GDP(2次速報)
設備投資などが減少し、実質GDPは前期比年率▲2.3%に下方修正
2025年12月08日
最新のレポート・コラム
-
中国:来年も消費拡大を最優先だが前途多難
さらに強化した積極的な財政政策・適度に緩和的な金融政策を継続
2025年12月12日
-
「責任ある積極財政」下で進む長期金利上昇・円安の背景と財政・金融政策への示唆
「低水準の政策金利見通し」「供給制約下での財政拡張」が円安促進
2025年12月11日
-
FOMC 3会合連続で0.25%の利下げを決定
2026年は合計0.25%ptの利下げ予想も、不確定要素は多い
2025年12月11日
-
大和のクリプトナビ No.5 2025年10月以降のビットコイン急落の背景
ピークから最大35%下落。相場を支えた主体の買い鈍化等が背景か
2025年12月10日
-
12月金融政策決定会合の注目点
2025年12月12日
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

