サマリー
◆2023年6月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+3.3%となった。全国新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同+4.2%と、前月から0.1%pt低下した。新コアコアCPIの前年比が前月から低下したのは実に1年5カ月ぶりであり、ピークアウトの兆しが見られる。新コアコアCPIの季節調整値(ラスパイレス連鎖基準方式)は前月比+0.2%となった。年率換算すれば+2.3%程度であり、日本銀行の物価安定の目標である2%を上回る上昇ペースを維持しているが、2022年終盤から2023年序盤に見られたような上昇ペースの急加速はすでに一巡している。
◆先行きの消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比は、プラス幅を徐々に縮小させつつも、当面の間は2%を上回るとみている。2023年春闘での賃上げ率の高まりを受けて、賃金上昇率と連動性の高いサービス物価の上昇基調が強まるだろう。企業の価格設定行動が足元で積極化しており、賃上げによる投入コストの増加分を販売価格に転嫁する動きが一段と加速する可能性がある。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2023年5月全国消費者物価
エネルギー価格の低下でコアCPIは減速も物価の上昇基調は依然強い
2023年06月23日
-
2023年4月全国消費者物価
生鮮食品・エネルギー除くCPIは前年比+4%台に突入
2023年05月19日
-
2023年3月全国消費者物価
物価の上昇基調の強まりを確認する内容
2023年04月21日
-
2023年2月全国消費者物価
政策効果でコアCPIの伸び率は縮小も物価の上昇基調は継続
2023年03月24日
-
2023年1月全国消費者物価
コアCPIは前年比+4.2%に到達
2023年02月24日
-
2022年12月全国消費者物価
コアCPIの前年比は4%に到達
2023年01月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年11月雇用統計
失業者数が減少し、雇用環境の改善が進む
2025年12月26日
-
2025年11月鉱工業生産
自動車の減産などが押し下げ要因/当面の間は軟調な推移を見込む
2025年12月26日
-
トランプ関税の影響緩和に作用した企業対応
自動車は関税負担吸収で他企業への波及回避/機械は価格転嫁
2025年12月19日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
-
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
-
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日
日本経済見通し:2025年10月
高市・自維連立政権の下で経済成長は加速するか
2025年10月22日
非財務情報と企業価値の連関をいかに示すか
定量分析の事例調査で明らかになった課題と今後の期待
2025年11月20日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
第227回日本経済予測
高市新政権が掲げる「強い経済」、実現の鍵は?①実質賃金引き上げ、②給付付き税額控除の在り方、を検証
2025年11月21日
グラス・ルイスの議決権行使助言が大変化
標準的な助言基準を廃し、顧客ごとのカスタマイズを徹底
2025年10月31日

