サマリー
◆2023年6月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+5%pt(前回差+4%pt)、大企業非製造業では+23%pt(同+3%pt)となった。
◆大企業製造業のうち「素材業種」では、幅広い業種で業況判断DI(最近)が上昇した。「加工業種」に目を向けると、「食料品」(前回差+17%pt)の業況判断DI(最近)が上昇した。原材料価格が高騰している一方で、価格転嫁の進展により収益性が改善していることが背景にあるとみられる。大企業非製造業では、「宿泊・飲食サービス」(同+36%pt)や「対個人サービス」(同+4%pt)の業況判断DI(最近)が上昇した。
◆交易条件(販売価格判断DIと仕入価格判断DIの差)を見ると、製造業・非製造業とも改善している。これまでの急速なコスト増を販売価格へ転嫁する動きが足元で進んでいることを確認させる内容だ。先行きの判断DIについても製造業では交易条件の改善が見込まれている。仕入価格判断DIが低下する中でも、販売価格の低下幅を抑制することで価格転嫁の動きは続くとみられる。他方、非製造業では先行きの交易条件が悪化する可能性が示されており、価格転嫁の動きが弱まる可能性には留意が必要だ。
◆2023年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+11.8%であり、製造業が同+15.1%、非製造業が同+9.9%であった。6月調査としては比較的高めの伸び率が示されており、堅調な結果が示された。全体としてグリーン化・デジタル化対応のための設備投資意欲が高まっているとみられる。
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