サマリー
◆6月日銀短観では、大企業製造業の業況判断DI(最近)は+9%pt(前回差▲5%pt)、大企業非製造業では+13%pt(同+4%pt)となった。これまで海外経済の回復にけん引される形で、大企業の製造業の業況は非製造業に先んじて改善してきた。しかし、6月調査では、国内の経済活動の再開が大企業非製造業の業況判断DI(最近)を押し上げる一方、大企業製造業は上海でのロックダウン等の影響で業況判断DI(最近)が低下した。
◆大企業製造業・非製造業を問わず、原材料価格高騰の影響を受け、仕入価格が上昇している。しかし、交易条件(販売価格判断DI(最近)と仕入価格判断DI(最近)の差)を見ると、非製造業では悪化しているものの、製造業では改善している。製造業を中心として、急速なコスト増を販売価格へ転嫁する動きが足元で進んでいることを確認させる内容だ。さらに、先行き判断DIに見る交易条件の動きからは、こうした傾向が続くことが示唆される。
◆2022年度の設備投資計画(全規模全産業、含む土地、ソフトウェアと研究開発投資額は含まない)は前年度比+14.1%であった。業種別に見ると、全規模製造業が同+20.5%、全規模非製造業が同+10.5%となった。例年と比較して、大企業を中心に修正幅は大きい。2021年度に予定されていた設備投資の先送り分が発現しているという側面も強いが、国内外で新型コロナウイルス感染拡大が落ち着き、経済活動の正常化が進展することへの期待感から、企業の設備投資意欲が高まるとみている。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
関連のレポート・コラム
最新のレポート・コラム
-
サステナビリティ情報の保証をめぐる動向
ISSA5000の公表、各国の規制、わが国での検討状況
2024年12月04日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第3版)
様々な物価・賃金指標を用いる案および住民税分離案を検証
2024年12月04日
-
消費データブック(2024/12/3号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2024年12月03日
-
DB運用見える化と従業員ファイナンシャル・ウェルネスの向上
事業主に求められるDB情報周知の強化と金融経済教育機会の充実
2024年12月03日
-
上場廃止と従業員エンゲージメント
2024年12月04日
よく読まれているリサーチレポート
-
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
-
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
-
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
-
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日
学生の「103万円の壁」撤廃による就業調整解消は実現可能で経済効果も大きい
学生61万人の就業調整解消で個人消費は最大0.3兆円増の可能性
2024年11月11日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算
基礎控除を75万円引上げると約7.3兆円の減税
2024年11月05日
課税最低限「103万円の壁」引上げによる家計と財政への影響試算(第2版)
「基礎控除引上げ+給与所得控除上限引下げ案」を検証
2024年11月08日
石破政権の看板政策「2020年代に最低賃金1500円」は達成可能?
極めて達成困難な目標で、地方経済や中小企業に過重な負担の恐れ
2024年10月17日
トランプ2.0で激変する米国ESG投資政策
年金制度におけるESG投資の禁止、ESG関連開示制度の撤廃など
2024年11月07日