サマリー
◆2021年9月の生産指数は前月比▲5.4%と3カ月連続で低下し、市場予想(同▲2.7%)を下回った。とりわけ自動車工業が大幅減産となり、生産指数を同3.7%pt押し下げた。これを受けて2021年7-9月期の生産指数は前期比▲3.7%と、コロナ禍が直撃した2020年4-6月期以来の低下となった。経済産業省は基調判断を「足踏みをしている」に据え置いた。
◆先行きの生産指数は緩やかに上昇するとみている。主力の自動車工業は既に最悪期を脱したとみられるが、依然として世界的な半導体不足がボトルネックとなっており、自動車生産の正常化までには時間がかかるだろう。他方、年末から年明けにかけては供給制約の緩和によって生産指数全体の回復ペースも加速するだろう。製造工業生産予測調査によると、10月は前月比+6.4%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同+2.4%)、11月は同+5.7%と見込まれている。
◆11月8日公表予定の9月分の景気動向指数は、先行CIが前月差▲2.7ptの98.6、一致CIが同▲3.8ptの87.5と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は機械的に「足踏み」に下方修正される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年8月鉱工業生産
自動車工業の大幅減産を受け、基調判断は足踏みに下方修正
2021年09月30日
-
2021年7月鉱工業生産
東南アジアの感染拡大がサプライチェーンを直撃し自動車工業で減産
2021年08月31日
-
2021年6月鉱工業生産
自動車工業の反動増により生産指数は2カ月ぶりの上昇
2021年07月30日
同じカテゴリの最新レポート
-
企業の賃金設定行動の整理と先行きへの示唆
~生産性に応じた賃金決定の傾向が強まる可能性~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
石破政権の経済政策に求められるもの
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
対日相互関税率は15%で決着へ-実質GDPへの影響は短期で▲0.5%、中期で▲1.2%-
相互関税以外の関税措置も含めると実質GDPは中期で3.2%減少
2025年07月23日
最新のレポート・コラム
-
カーボンクレジット市場の新たな規律と不確実性
VCMI登場後の市場と、企業に求められる戦略の頑健性
2025年07月24日
-
金利上昇下における預金基盤の重要性の高まり
~預金を制するものは金融業界を制す~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
企業の賃金設定行動の整理と先行きへの示唆
~生産性に応じた賃金決定の傾向が強まる可能性~『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
ドイツ経済低迷の背景と、低迷脱却に向けた政策転換
『大和総研調査季報』2025年夏季号(Vol.59)掲載
2025年07月24日
-
「外国人優遇」は本当か?データで見る国民健康保険・国民年金の実態
2025年07月25日
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日