サマリー
◆2021年8月の生産指数は前月比▲3.2%と2カ月連続で低下し、市場予想(同▲0.5%)を下回った。世界的な半導体不足に加え、ベトナムなどで7月上旬から新型コロナウイルスの感染拡大を受けたロックダウン(都市封鎖)が実施された影響が8月に全面的に表れ、自動車工業が大幅減産となった。また半導体不足の影響を受けやすい電気・情報通信機械工業も低下した。経済産業省は基調判断を「持ち直している」から「足踏みをしている」に下方修正した。
◆先行きの生産指数は短期的には横ばい圏で推移するとみている。主力の自動車工業では生産が回復に転じるまでには時間がかかるだろう。他方、年度後半にかけては供給制約の解消やワクチンの普及が進むにつれて内需・外需ともに増加が見込まれることから、幅広い業種で増産が後押しされるだろう。製造工業生産予測調査によると、9月は前月比+0.2%(計画のバイアスを補正した試算値(最頻値)は同▲1.3%)、10月は同+6.8%と見込まれている。
◆10月7日公表予定の8月分の景気動向指数は、先行CIが前月差▲2.9ptの101.2、一致CIが同▲3.4ptの91.0と予想する。この予測値に基づくと、一致CIによる基調判断は機械的に「改善」に据え置かれる。
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