サマリー
◆2021年9月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比+0.1%と、2020年3月以来1年半ぶりに前年比プラスとなった。世界的な商品市況高騰の影響を受け、エネルギーや食品(除く生鮮食品)といった非耐久消費財が全体を押し上げた。他方、新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同▲0.5%とマイナス幅が前月から横ばいであった。足元のコアCPIを下支えしている要因が主にエネルギーであることを考慮すると、物価の基調は足踏み状態にあるといえよう。
◆9月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、「ガソリン」や「電気代」、「牛肉(輸入品)」といった非耐久消費財が全体を押し上げた。一方、足元の主要な下押し要因であるサービスでは、「通信料(携帯電話)」による下押し圧力を「宿泊料」が一部緩和する、という構図が続いている。
◆先行きのコアCPI前年比変化率は、様々な要因が混在しつつも、全体としては緩やかに上昇を続けるとみている。当面の上昇要因としては、商品市況の高騰を受けた企業の生産コストの上昇や、昨年のGo Toトラベル事業の裏の影響が挙げられる。一方GDPギャップの回復の鈍さや、携帯電話通信料引き下げの影響が引き続き下押し要因となろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年7月機械受注
金融業・保険業、不動産業などの受注減で軟調な結果
2025年09月18日
-
2025年8月貿易統計
トランプ関税や半導体需要減の影響継続で輸出金額は4カ月連続減少
2025年09月17日
-
トランプ関税でインバウンドに黄色信号
中国人旅行客の伸びしろは大きいものの、他国の状況は厳しい
2025年09月16日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日