サマリー
新型コロナウイルスのワクチン接種率が上昇すれば、新規感染者数は抑制され、景気回復が加速するとの「公式」が期待された時期があったが、現実はそう甘くはなかった。ワクチン接種完了者が人口の5割を超えている英国で新規感染者数が急増し、また同4割超の米国、オランダ、フランスなどでも新規感染者数が増加傾向にある。日本でも米欧と遜色のないワクチン接種ペースが達成された一方で、首都圏を中心に新規感染者数が加速度的に増加している。感染再拡大への対応として、オランダやフランスは飲食店等の営業時間規制などを再び強化し、日本は東京を対象に4回目となる緊急事態宣言を発出した。サービス消費を中心に個人消費の回復に水を差すことになるだろう。一方、正反対の対応を見せたのが英国(イングランド)で、ワクチン接種進展の効果で重症者数や死亡者数の増え方が大幅に抑制されていることを理由に、7月19日にマスク着用義務などの規制を撤廃し、またナイトクラブや劇場などの営業禁止も解除した。感染抑制と経済活動の再開のバランスをどう取るか各国の試行錯誤が続いているが、イングランドの果敢な(無謀な?)挑戦がどのような結果をもたらすか注目される。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
日本経済見通し:2021年7月
足元の経済動向や4回目の宣言発出などを受け、経済見通しを改訂
2021年07月20日
-
米国経済見通し 夏を冷やす2つのリスク
インフレ加速の長期化と連邦政府の債務上限問題にご用心
2021年07月20日
-
欧州経済見通し if not now, whenの心意気
経済の正常化とコロナ感染者の増加にどう折り合いをつけるか
2021年07月20日
-
中国:景気下振れ懸念と政策余地
交易条件・企業業績の悪化 VS 大手行の預金準備率引き下げ
2021年07月20日
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
-
急速に広がる資格情報等のデジタル化
利用時に気をつけるポイントと求められるデジタルリテラシー
2025年04月28日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日