日本経済見通し:2021年7月

足元の経済動向や4回目の宣言発出などを受け、経済見通しを改訂

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2021年07月20日

  • 経済調査部 シニアエコノミスト 神田 慶司
  • 経済調査部 シニアエコノミスト 久後 翔太郎
  • 経済調査部 エコノミスト 小林 若葉
  • 鈴木 雄大郎

サマリー

◆新型コロナウイルス感染症の拡大により、日本経済の回復はこのところ個人消費とその他の需要項目との間で二極化が鮮明になっている。感染状況に関するシミュレーションを行うと、東京都の人出が5月並みに減少すれば、4回目の緊急事態宣言は8月22日に予定通り解除される。だが人出が減少しなければ、宣言の1カ月延長を余儀なくされ、新規感染者数は9月初めの2,600人/日程度でようやく頭打ちとなる。

◆足元の経済動向や4回目の宣言発出などを受け、経済見通しを改訂した。4-6月期の実質GDP成長率は前期比年率+0.3%を見込んでいる。7-9月期の見通しは、8月22日に宣言とまん延防止等重点措置が解除される想定で同+2.3%である。ただし宣言の対象地域が拡大されたり、期限が延長されたりする可能性も小さくない。仮に8月1日に宣言の対象地域が15都道府県に拡大すると、7-9月期の実質GDP成長率は同+1.5%となり、さらに宣言が1カ月延長されれば同▲0.4%に低下する。

◆2021年度の最低賃金は全国加重平均で+3.1%と、2019年度並みに引き上げられる。政府には、最低賃金が引き上げられる10月までにワクチン接種を安定軌道に乗せ、経済の正常化を積極的に進めることが求められる。労働分配率の低下は最低賃金引き上げの根拠とされることが多いが、国民経済計算ベースの労働分配率は実は低下していない。業種別に見ると、宿泊・飲食サービスなどの労働分配率は感染拡大後に大幅に上昇した。経済活動が正常化するまでは、マクロだけでなくセミマクロの観点から今後の最低賃金引き上げの影響を分析し、支援策を適宜講じる重要性がとりわけ大きい。

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