サマリー
◆大和総研は、2021年4-6月期の実質GDP成長率が前期比年率9.4%と1-3月期に続き加速すると見込む。ただし、供給制約に伴う自動車購入の減少や企業活動、住宅投資の鈍化によって、幾分下方修正した。もっとも、4-6月期の実質GDP水準はコロナ禍前(2019年10-12月期)を上回ることから、十分な回復ペースといえる。
◆回復期待が高まっていた上半期に比べて、下半期はリスク要因への警戒感が強まっている。とりわけ、夏場にかけてはインフレ加速の長期化を測る上で、労働供給が拡大するか否かが重要となる。加えて、連邦政府の債務上限の適用再開が8月に迫り、議会での合意が注目される。
◆労働需給がタイトさを継続した場合、そして、議会での債務上限に関する議論が長期化した場合、足下まで低下し続けてきた国債金利のリプライシングを促し得る。市場もこうしたリスクを織り込み切れていない点は要注意である。市場の混乱が実体経済に悪影響を与え得ることも懸念されるが、インフレ加速に関しては消費者マインドを悪化させ始めている。また、新型コロナウイルスデルタ株の感染拡大も警戒される中、債務上限の適用再開によって感染拡大抑止や支援に支障をきたし得る点も認識しておくべきだろう。
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