サマリー
◆2021年3月の全国コアCPI(除く生鮮食品)は前年比▲0.1%とコンセンサス(同▲0.2%)を上回り、3ヶ月連続で下落率が縮小した。物価の基調を示す新コアコアCPI(除く生鮮食品、エネルギー)は同+0.3%となった。20年度の全国コアCPIは前年度比▲0.4%となった。前年割れするのは、原油安によって物価が大きく低下した2016年度以来である。
◆21年3月のコアCPIの前年比変化率の内訳を見ると、エネルギーやサービスなどが上昇に寄与した。エネルギーでは原油価格の持ち直しを背景に「ガソリン」が上昇に転じたほか、資源価格の動きが比較的遅れて反映される「都市ガス代」や「電気代」のマイナス幅が縮小した。サービスでは「宿泊料」などが押上げに寄与した。他方、携帯電話利用料の引下げを受けて「通信料(携帯電話)」が全体を下押しした。その他の品目では「婦人用上着」などが押し上げた。
◆先行きの全国コアCPIは4月にも前年比でプラスに転換するとみている。需給ギャップに見るマクロの需給バランスの改善や、原油価格の上昇、円安進行に伴う輸入物価の上昇などが押上げ要因となろう。また、足元の企業物価の上昇もラグを伴ってCPIを押し上げるとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
2021年2月全国消費者物価
原油価格の上昇を背景にコアCPIの前年比下落率が縮小
2021年03月19日
-
2021年1月全国消費者物価
Go To トラベル事業の効果が剥落しコアCPIの前年比下落率が縮小
2021年02月19日
-
2020年12月全国消費者物価
コアCPI変化率は約10年ぶりに▲1%台まで下落幅が拡大
2021年01月22日
同じカテゴリの最新レポート
-
メタバースは本当に幻滅期で終わったか?
リアル復権時代も大きい将来性、足元のデータや活用事例で再確認
2025年06月11日
-
2025年1-3月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率▲0.2%に改善するも民間在庫が主因
2025年06月09日
-
2025年4月消費統計
総じて見れば前月から概ね横ばい、先行きも横ばい圏で推移しよう
2025年06月06日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日