サマリー
◆新型コロナウイルスの感染拡大および緊急事態宣言などの活動自粛要請が企業活動に与えた影響の大きさは業種によってまちまちである。感染拡大による影響が顕在化した3月以降、製造業では輸送機械工業などが、非製造業では生活娯楽関連サービスなどが全体の企業活動の低下に大きく寄与した。
◆輸送機械工業の生産の減少は、経済活動の制限・自粛の影響により国内外の自動車販売が人為的に抑制されたことが背景の一つだ。しばらくはペントアップ需要が発現することが期待できるものの、ペントアップ需要剥落後の自動車販売は雇用・所得環境の回復の鈍さなどから低迷することが見込まれる。また感染拡大の長期化が予想される中では、移動や接触を伴う消費自粛は続くとみられる。生活娯楽関連サービスは当面、感染拡大前の水準まで回復することは難しいだろう。
◆自動車産業は裾野が広いといわれているが、サービス業の生産波及効果もそれに匹敵する大きさである。輸送機械工業や生活娯楽関連サービスなどの業種で長期にわたり経済活動水準が元に戻らなければ、幅広い業種で雇用調整が一段と進められる可能性には注意が必要である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年6月全国消費者物価
政策要因でコアCPIの伸び率縮小も、物価の上昇基調は引き続き強い
2025年07月18日
-
2025年6月貿易統計
円高の進行やトランプ関税の影響で輸出金額は2カ月連続の減少
2025年07月17日
-
1カ月分超の「家庭内備蓄」取り崩しでコメの価格低下が加速する可能性
エンゲル係数の記録的な高さは必ずしも家計の貧しさを表さず
2025年07月17日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
-
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
第225回日本経済予測(改訂版)
人口減少下の日本、持続的成長への道筋①成長力強化、②社会保障制度改革、③財政健全化、を検証
2025年06月09日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
「トランプ2.0」、外国企業への「報復課税」?
Section 899(案)、米国に投資する日本企業にもダメージの可能性有
2025年06月13日
日本経済見通し:2025年5月
経済見通しを改訂/景気回復を見込むもトランプ関税などに警戒
2025年05月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日