サマリー
◆【2月総評】2020年2月時点では、日本国内および欧米における新型肺炎感染拡大や、それに伴う経済活動の自粛が本格化する前であったことから、経済指標に表れる打撃は企業部門、家計部門ともに限定的であった。新型肺炎の打撃が確認されるのは翌月以降の経済統計となる。
◆【企業部門】2020年2月の企業部門の経済指標はまちまちであった。輸出数量は前月比+3.8%と2ヶ月ぶりに増加した。地域別に見ても、米国向け、EU向け、アジア向け全てが増加している。鉱工業指数は同▲0.3%と3ヶ月ぶりに低下した。自動車工業、生産用機械工業などの資本財関連の減産が全体を押し下げた。機械受注(船舶・電力を除く民需)は、同+2.3%と2ヶ月連続で増加した。製造業は3ヶ月ぶりに減少に転じたが、他方で3ヶ月ぶりに増加に転じた非製造業が全体を牽引した。
◆【家計部門】2020年2月の雇用・賃金、消費は総じて底堅い結果を示したが、一部で軟化も確認される。就業者数は前月差+3万人と増加、完全失業率は前月から横ばいの2.4%となり、現金給与総額は前年同月比+0.8%と2ヶ月ぶりに増加した。個人消費は前月比+0.8%と3ヶ月ぶりに増加した。ただし有効求人倍率は2019年以降低下傾向が続いている。
◆【四半期指標】2020年3月日銀短観によると、大企業製造業の業況判断DI(最近)は▲8%pt(前回差▲8%pt)、大企業非製造業の業況判断DI(最近)は8%pt(同▲12%pt)と、いずれもアベノミクス以前の水準まで悪化した。それでもなお、今回の短観の回答期限は2月25日~3月31日(基準日は3月13日)であり、新型肺炎の感染拡大の影響—とりわけ欧米向け輸出の悪化—を十分に反映できていない可能性が指摘される。
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