2017年10月雇用統計

新規求人倍率は過去最高に並ぶ

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2017年12月01日

  • 山口 茜
  • 小林 俊介

サマリー

◆労働力調査によると、2017年10月の完全失業率(季節調整値)は、前月から横ばいの2.8%となった。失業者数は前月差▲1万人と2ヶ月ぶりに減少し、就業者数は同▲6万人と2ヶ月連続で減少した。一方、非労働力人口は同+3万人と2ヶ月連続で増加した。非労働力化が進む結果となった点には注意が必要だが、雇用動向は引き続き良好であると評価できる。


◆一般職業紹介状況によると、2017年10月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.03pt上昇し1.55倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は前月から0.10pt上昇し2.36倍となり、過去最高(1973年11月)に並んだ。有効求人倍率、新規求人倍率はともに歴史的高水準で推移しており、労働需給は非常にタイトな状況にある。また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.03倍となった。


◆毎月勤労統計によると、2017年9月の現金給与総額は前年比+0.9%と2ヶ月連続で増加した。内訳を見ると、所定内給与(同+0.7%)と所定外給与(同+1.2%)、特別給与(同+10.6%)の全ての項目が増加した。特に、一般労働者の所定内給与の増加が全体を押し上げた。


◆先行きの労働需給は、非製造業・中小企業を中心にタイトな状況が続き、失業率は2%台で推移するとみている。失業率は1980年に1%台を記録しているが、今後、その水準まで低下するには、求人側と求職側の業種に関するミスマッチの解消が必要だ。

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