2017年9月雇用統計

就業者は減少するも、正規雇用者は増加

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2017年10月31日

  • 山口 茜
  • 小林 俊介

サマリー

◆労働力調査によると、2017年9月の完全失業率(季節調整値)は、前月から横ばいの2.8%となった。失業者数は前月差+2万人と2ヶ月ぶりに増加した一方、就業者数は同▲15万人と4ヶ月ぶりに減少した。また、非労働力人口は同+14万人と7ヶ月ぶりに増加した。非労働力化が進む結果となった点には注意が必要だが、雇用動向は引き続き良好であると評価できる。


◆一般職業紹介状況によると、2017年9月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.52倍となった。4月以降、高度経済成長期以来の高水準が続いている。また、新規求人倍率(季節調整値)は前月から0.05pt上昇し2.26倍となった。有効求人倍率、新規求人倍率ともに、歴史的高水準で推移している。また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)は前月から0.01pt上昇し1.02倍となった。


◆毎月勤労統計によると、2017年8月の現金給与総額は前年比+0.7%と2ヶ月ぶりに増加した。内訳を見ると、所定内給与(同+0.2%)と所定外給与(同+1.3%)、特別給与(同+5.7%)のすべての項目が増加した。特に一般労働者の特別給与が幅広い産業で増加したことが全体を押し上げた。


◆先行きの労働需給は、非製造業・中小企業を中心にタイトな状況が続き、失業率は2%台での推移が続くとみている。失業率は1980年に1%台を記録しているが、今後、その水準まで低下するには、求人側と求職側の業種に関するミスマッチの解消が必要だ。

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