サマリー
◆2015年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の経常利益は前年比+9.0%となったものの、増益幅は前期(同+23.8%)から縮小した。売上高についても同+0.1%と2四半期連続の増収を確保したものの、増収幅は前期を下回った。原油安がラグを伴って変動比率を押し下げたことが企業利益の改善に寄与した一方で、売上高の伸びの鈍化、労働需給のひっ迫やベースアップに伴う人件費の増加が企業利益の増加幅を縮小させる要因として働いた。
◆2015年7-9月期の全産業(金融業、保険業除く)の設備投資(ソフトウェア除く)は前年比+11.2%と10四半期連続で増加を維持し、増加幅は前期(同+6.6%)から拡大した。季節調整値で見ても、前期比+5.4%と2四半期ぶりの増加となった。このところ、設備投資関連指標は軒並み低調な結果が示されてきたが、法人企業統計に見る設備投資は堅調な推移が続いていると判断できる。業種別に見ると、製造業が同+7.6%、非製造業が同+4.3%となり、いずれも前期の落ち込みを取り戻す良好な結果である。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、7-9月期GDP二次速報(12月8日公表予定)では、実質GDP成長率が前期比年率▲0.2%(一次速報:同▲0.8%)となり、一次速報から上方修正されるとみている。公共投資、在庫投資が下方修正される一方、設備投資の上方修正が全体を押し上げる公算だ。一次QE段階と比較し、在庫調整の一層の進展が示されるだけでなく、設備投資が持ち直しの動きに向かった姿が確認できることから、ヘッドライン以上に内容の改善が期待できる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
経済指標の要点(8/19~9/12発表統計分)
2025年09月12日
-
2025年9月日銀短観予想
製造業で業況判断DI(最近)は改善も、先行きへの警戒感は強い
2025年09月10日
-
2025年4-6月期GDP(2次速報)
実質GDP成長率は前期比年率+2.2%に高まるも民間在庫などが主因
2025年09月08日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
-
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
-
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
-
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年度の最低賃金は1,100円超へ
6%程度の引き上げが目安か/欧州型目標の扱いや地方での議論も注目
2025年07月16日
2025年ジャクソンホール会議の注目点は?
①利下げ再開の可能性示唆、②金融政策枠組みの見直し
2025年08月20日
既に始まった生成AIによる仕事の地殻変動
静かに進む、ホワイトカラー雇用の構造変化
2025年08月04日
米雇用者数の下方修正をいかに解釈するか
2025年7月米雇用統計:素直に雇用環境の悪化を警戒すべき
2025年08月04日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日