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【移民レポート9】フィリピン:海外送金のメリットとコスト

消費拡大VS人材流出

2014年11月20日

新田 尭之

サマリー

◆国外で雇用契約を結んだフィリピン人労働者数は2013年にフローベースで224.2万人となり、約40年で60倍以上増加した。


◆この224.2万人のうち、約2割が船員である。また、香港やシンガポール、中東の産油国等で家事労働者や看護師として勤務する女性のほか、サウジアラビアなどの中東の産油国で建設業や製造業に従事する男性も目立つ。


◆こうした海外労働者等による送金はフィリピン経済に大きく貢献している。送金額は2013年に229.7億米ドルに達した。これは同年の名目GDPの8.4%に相当する規模であり、消費の拡大や経常収支の改善に大きく貢献している。


◆インドと同様に、フィリピンでも頭脳流出が問題となっている。特に医療セクターにおいてはフィリピンと先進国間の待遇の差が労働力の移動に直結しやすいため、看護師はもちろん、医師までもが看護師として国外で働くケースが相次いでいる。医師および看護師の不足は、医療機関へのアクセスが困難な地域の増加や医療現場の疲弊等を通じてフィリピンの医療サービスを低下させる。


◆出稼ぎ労働者がこれだけ多い一方で、フィリピン国内の雇用環境は改善していない。これまでフィリピン政府は移民や出稼ぎ労働者からの送金に依存し、国内産業の育成を他国よりもあまり重視してこなかった面もあった。フィリピンのような人口が1億人を超える国で失業問題を解決するためには、結局のところ途上国の経済政策の基本に戻り、インフラ整備や汚職対策、外資系企業の誘致等を一層促進して、国内産業の発展に努める必要があると思われる。

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