サマリー
◆労働力調査によると、2014年8月の完全失業率(季節調整値)は、前月から▲0.3%pt低下し、3.5%となった。失業率は6月、7月と上昇が続き雇用環境の改善に足踏みが見られていたが、前2ヶ月の失業率の悪化を取り戻した格好である。雇用者数は前月差▲7万人と4ヶ月ぶりに減少したものの、自営業主・家族従業者の増加により、就業者数は同+9万人と3ヶ月ぶりに増加した。また、非労働力人口が前月差+13万人と大幅に増加したこともあって、失業者数は同▲18万人と大きく減少しており、非労働力化が進んだことが失業率の大幅な改善につながった。
◆一般職業紹介状況によると、2014年8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍となった。一方、新規求人倍率は前月から▲0.04pt低下し1.62倍となった。有効求人倍率の水準自体は1を上回る高水準での推移が続いており、労働需給はタイトな状況が続いているものの、雇用環境改善ペースに鈍化が見られている。
◆8月の雇用関連統計を総じて見ると、景気が減速するなか、雇用の改善ペースに減速感が見られたと言える。ただし、労働需給は引き続きタイトであるという状況に大きな変化はない。先行きについては、雇用環境の改善傾向が続くと見込んでいる。消費税増税後の反動減を主因とした景気減速によって、労働需給は一時的に緩和することとなったが、増税の影響が一巡し、景気が回復経路に復する中で企業の労働需要が再び強まっていくとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
最新のレポート・コラム
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
ビットコイン現物ETFとビットコイントレジャリー企業株式
2025年12月05日

