7月雇用統計

失業率は2ヶ月連続の上昇、雇用環境は改善一服

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2014年08月29日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆労働力調査によると、2014年7月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1%pt上昇し、3.8%となった。失業率の上昇は2ヶ月連続であり、雇用環境の改善傾向が一服した格好である。就業者数は前月差▲6万人と、3ヶ月ぶりに減少した。ただし、雇用者数は前月差+18万人と3ヶ月連続で増加しており、自営業主・家族従業者の減少が就業者数を押し下げている。就業者数が減少する中、失業者数は同+4万人と2ヶ月連続の増加となったが、雇用者数の増加基調が続いていることに鑑みると、7月の失業率の悪化は数字ほどには内容は悪くない。


◆一般職業紹介状況によると、2014年7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍となった。一方、新規求人倍率は前月から▲0.01pt低下し1.66倍となった。求人倍率が高水準での推移が続いているという状況には大きな変化は見られないものの、雇用環境改善が足踏みしていることを確認させる内容であった。


◆7月の雇用関連統計を総じて見ると、労働需給は引き続きタイトな状態にあるものの、改善傾向に減速感が見られる結果となった。先行きについては、雇用環境の改善傾向が続くと見込んでいる。消費税増税後の反動減を主因とした景気減速によって、労働需給は一時的に緩和することとなったが、増税の影響が一巡し、景気が回復経路に復する中で企業の労働需要が再び強まっていくとみられる。

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