サマリー
◆労働力調査によると、2014年7月の完全失業率(季節調整値)は、前月から0.1%pt上昇し、3.8%となった。失業率の上昇は2ヶ月連続であり、雇用環境の改善傾向が一服した格好である。就業者数は前月差▲6万人と、3ヶ月ぶりに減少した。ただし、雇用者数は前月差+18万人と3ヶ月連続で増加しており、自営業主・家族従業者の減少が就業者数を押し下げている。就業者数が減少する中、失業者数は同+4万人と2ヶ月連続の増加となったが、雇用者数の増加基調が続いていることに鑑みると、7月の失業率の悪化は数字ほどには内容は悪くない。
◆一般職業紹介状況によると、2014年7月の有効求人倍率(季節調整値)は前月から横ばいの1.10倍となった。一方、新規求人倍率は前月から▲0.01pt低下し1.66倍となった。求人倍率が高水準での推移が続いているという状況には大きな変化は見られないものの、雇用環境改善が足踏みしていることを確認させる内容であった。
◆7月の雇用関連統計を総じて見ると、労働需給は引き続きタイトな状態にあるものの、改善傾向に減速感が見られる結果となった。先行きについては、雇用環境の改善傾向が続くと見込んでいる。消費税増税後の反動減を主因とした景気減速によって、労働需給は一時的に緩和することとなったが、増税の影響が一巡し、景気が回復経路に復する中で企業の労働需要が再び強まっていくとみられる。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/5/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年05月02日
-
2025年1-3月期GDP(1次速報)予測 ~前期比年率+0.5%を予想
外需が下押しも内需は堅調/小幅ながら4四半期連続のプラス成長
2025年04月30日
-
2025年3月鉱工業生産
自動車工業や電気・情報通信機械工業など10業種が前月から低下
2025年04月30日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
-
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
-
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日
トランプ関税で日本経済は「漁夫の利」を得られるか?
広範な関税措置となっても代替需要の取り込みで悪影響が緩和
2025年03月03日
地方創生のカギとなる非製造業の生産性向上には何が必要か?
業種ごとの課題に応じたきめ細かい支援策の組み合わせが重要
2025年03月12日
中国:全人代2025・政府活動報告を読み解く
各種「特別」債で金融リスク低減と内需拡大を狙う
2025年03月06日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
2025年の日本経済見通し
1%台半ばのプラス成長を見込むも「トランプ2.0」で不確実性大きい
2024年12月20日