サマリー
◆2014年7月の生産指数は、前月比+0.2%と2ヶ月ぶりの上昇となったものの、市場コンセンサス(同+1.0%)から下振れした。先月の大幅な落ち込みに照らすと、7月の増加幅は限定的であり、鉱工業生産は2014年1月をピークに減少傾向となっている。なお、在庫指数は同+0.8%と3ヶ月連続の増加となったものの、出荷指数は同+0.7%と6ヶ月ぶりに上昇しており、在庫率指数は同▲2.3%と3ヶ月ぶりの低下となった。
◆7月の生産指数を業種別に見ると、全15業種中、8業種で上昇が見られた。生産全体への寄与を見ると、はん用・生産用・業務用機械工業(前月比+6.3%)、石油・石炭製品工業(同+3.1%)、繊維工業(同+1.3%)による押し上げが大きかった。一方、輸送機械工業(同▲2.5%)、情報通信機械工業(同▲6.9%)、化学工業(同▲1.9%)の低下が全体を押し下げた。輸送機械工業、情報通信機械工業の生産減少については、前月時点の製造工業予測調査に概ね沿った内容である。しかし、輸送機械工業の減少幅が計画よりもやや大きかったこと、前月時点で増加を見込んでいた化学工業の生産が減少したことから、鉱工業生産全体の増加幅が想定よりも小幅なものとなった。
◆製造工業生産予測調査では、8月の生産計画は前月比+1.3%、9月は同+3.5%となり、先行きについては持ち直しを見込む結果となっている。8月の生産計画を業種別に見ると、はん用・生産用・業務用機械と輸送用機械の2業種が減産を見込むものの、それ以外の業種では増産計画となった。9月については、素材業種が軒並み減産を見込む中、加工業種の増加が全体を押し上げる見通しとなっている。特に、足下生産の減少が続いている輸送機械工業が4ヶ月ぶりの増加を見込んでいる点は好材料である。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
-
2025年5月全国消費者物価
米価格の上昇が他の食料品や外食など関連品目の価格にも波及
2025年06月20日
-
2025年5月貿易統計
輸出数量は横ばい圏を維持も、円高効果等で輸出額は8カ月ぶりに減少
2025年06月18日
-
2025年4月機械受注
民需(船電除く)は減少し、コンセンサス通りの結果だった
2025年06月18日
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
-
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
-
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
-
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
-
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
-
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日
日本経済見通し:2025年4月
足元の「トランプ関税」の動きを踏まえ、実質GDP見通しなどを改訂
2025年04月23日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日
信用リスク・アセットの算出手法の見直し(確定版)
国際行等は24年3月期、内部モデルを用いない国内行は25年3月期から適用
2022年07月04日
「反DEI」にいかに立ち向かうか
米国における「DEIバックラッシュ」の展開と日本企業への示唆
2025年05月13日
中国:関税115%引き下げ、後は厳しい交渉へ
追加関税による実質GDP押し下げ幅は2.91%→1.10%に縮小
2025年05月13日