6月日銀短観

増税後の反動減で業況判断は悪化も、設備投資計画は上方修正

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2014年07月01日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆日銀短観(2014年6月調査)では、業況判断DI(最近)は総じて悪化した。大企業製造業の業況判断が市場予想から下振れしたことはややネガティブ。ただし、悪化の主な要因は消費税増税後の反動減であるという点については想定内の内容であった。


◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+17%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+15%pt)から下振れした。業種別の動向を見ると、素材業種では、増税後の反動減の影響を強く受けた「木材・木製品」が大幅に悪化したほか、住宅投資の減少によって「窯業・土石製品」の悪化幅が大きい。加工業種では、反動減で国内販売が低迷している「自動車」の悪化が全体の足を引っ張った。また、業況判断DIの水準が高い「はん用機械」、「生産用機械」でも小幅ながら業況の悪化が見られた。


◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+19%ptと前回調査(+24%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+19%pt)に沿った結果となった。業種別に見ると、増税後の反動減によって「小売」が大幅に低下し、全体を押し下げた。ただし、家計関連では「宿泊・飲食サービス」の低下幅は比較的小幅に留まり、「対個人サービス」では横ばいとなっており、サービス消費関連は底堅い。その他の業種では、住宅投資の減少により「建設」、「不動産」が悪化したほか、燃料価格の上昇を受け「電気・ガス」で業況が悪化している。


◆2014年度の大企業全産業の売上計画は、前年比+1.8%、経常利益計画は前年比▲4.6%となり、増収減益を見込んでいる。ただし、利益計画を上期、下期ごとに見ると、上期が前年同期比▲9.3%、下期が同+0.2%となっており、下期にかけて持ち直す計画となっている。


◆大企業全産業の2014年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年比+7.4%と、前回調査から上方修正(修正率:+5.8%)され、市場コンセンサス(同+6.0%)を上回った。

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