サマリー
◆日銀短観(2014年6月調査)では、業況判断DI(最近)は総じて悪化した。大企業製造業の業況判断が市場予想から下振れしたことはややネガティブ。ただし、悪化の主な要因は消費税増税後の反動減であるという点については想定内の内容であった。
◆大企業製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回(+17%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+15%pt)から下振れした。業種別の動向を見ると、素材業種では、増税後の反動減の影響を強く受けた「木材・木製品」が大幅に悪化したほか、住宅投資の減少によって「窯業・土石製品」の悪化幅が大きい。加工業種では、反動減で国内販売が低迷している「自動車」の悪化が全体の足を引っ張った。また、業況判断DIの水準が高い「はん用機械」、「生産用機械」でも小幅ながら業況の悪化が見られた。
◆大企業非製造業の「業況判断DI(最近)」は+19%ptと前回調査(+24%pt)から悪化し、市場コンセンサス(+19%pt)に沿った結果となった。業種別に見ると、増税後の反動減によって「小売」が大幅に低下し、全体を押し下げた。ただし、家計関連では「宿泊・飲食サービス」の低下幅は比較的小幅に留まり、「対個人サービス」では横ばいとなっており、サービス消費関連は底堅い。その他の業種では、住宅投資の減少により「建設」、「不動産」が悪化したほか、燃料価格の上昇を受け「電気・ガス」で業況が悪化している。
◆2014年度の大企業全産業の売上計画は、前年比+1.8%、経常利益計画は前年比▲4.6%となり、増収減益を見込んでいる。ただし、利益計画を上期、下期ごとに見ると、上期が前年同期比▲9.3%、下期が同+0.2%となっており、下期にかけて持ち直す計画となっている。
◆大企業全産業の2014年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年比+7.4%と、前回調査から上方修正(修正率:+5.8%)され、市場コンセンサス(同+6.0%)を上回った。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
同じカテゴリの最新レポート
- 
                
                
                
                    
2025年9月鉱工業生産
生産用機械工業などの増産で上昇も、先行きは軟調な推移を見込む
2025年10月31日
 - 
                
                
                
                    
2025年9月雇用統計
失業率は前月から横ばいも、労働参加と就業拡大が進展
2025年10月31日
 - 
                
                
                
                    
2025年7-9月期GDP(1次速報)予測~前期比年率▲2.8%を予想
トランプ関税や前期からの反動減で6四半期ぶりのマイナス成長か
2025年10月31日
 
最新のレポート・コラム
よく読まれているリサーチレポート
                                
                                    
                                      - 
                                              
                                          
第226回日本経済予測(改訂版)
                                          低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
                                          
                                            2025年09月08日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
聖域なきスタンダード市場改革議論
                                          上場維持基準などの見直しにも言及
                                          
                                            2025年09月22日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
                                          金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
                                          
                                            2025年09月01日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
日本経済見通し:2025年9月
                                          トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
                                          
                                            2025年09月25日
                                          
                                       
                                      - 
                                              
                                          
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
                                          25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
                                          
                                            2025年01月23日
                                          
                                       
                                
                        
第226回日本経済予測(改訂版)
低成長・物価高の日本が取るべき政策とは?①格差問題、②財政リスク、を検証
2025年09月08日
聖域なきスタンダード市場改革議論
上場維持基準などの見直しにも言及
2025年09月22日
今後の証券業界において求められる不正アクセス等防止策とは
金融庁と日本証券業協会がインターネット取引の新指針案を公表
2025年09月01日
日本経済見通し:2025年9月
トランプ関税で対米輸出が大幅減、製造業や賃上げ等への影響は?
2025年09月25日
中国:2025年と今後10年の長期経済見通し
25年:2つの前倒しの反動。長期:総需要減少と過剰投資・債務問題
2025年01月23日

