9月貿易統計

7-9月期GDPの外需寄与度はマイナスの公算大

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2013年10月21日

  • ロンドンリサーチセンター シニアエコノミスト(LDN駐在) 橋本 政彦

サマリー

◆2013年9月の貿易統計は、輸出金額が前年比+11.5%と7ヶ月連続の増加となったものの、市場コンセンサス(同+15.5%)を下回った。輸出金額を価格と数量に分けて見ると、輸出価格は前年比+13.6%と、大幅な上昇が続いており、円安を主因とした価格上昇が輸出金額を押し上げる構図が続いている。一方で、輸出数量は前年比▲1.9%と3ヶ月ぶりに前年を下回った。輸出金額を季節調整値で見ると、前月比▲0.3%と2ヶ月ぶりの減少となった。3ヶ月移動平均値では10ヶ月連続の増加となっており、増加傾向が続いているものの、輸出数量の伸び悩みを背景に、足下で減速しつつある。


◆輸出数量指数を季節調整値で見ると(季節調整は大和総研による)、前月比▲1.2%と、2ヶ月ぶりの低下となった。地域別に見ると、EU向けが増加したものの、米国向けおよびアジア向けの減少が全体を押し下げた。欧州の景気底打ちを受けて、EU向けの輸出数量についてはこのところ持ち直しつつある。一方で、米国向け、アジア向けの輸出数量が伸び悩んでおり、輸出数量全体としては概ね横ばい圏での推移となっている。


◆当月の貿易統計を受けてGDPベースの輸出入を暫定的に推計したところ、2013年7-9月期の外需(純輸出)の実質GDP成長率(前期比)に対する寄与度は▲0.5%pt程度となる見込みである。輸入が前期から増加する一方で、輸出についてはほぼ横ばいになるとみられ、外需寄与度は3四半期ぶりのマイナスとなる見込み。

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