サマリー
◆2013年4-6月期の全産業(金融業、保険業除く)の経常利益は前年比+24.0%となり、6四半期連続の増益となった。売上高は同▲0.5%と5四半期連続の減収となっており、低水準での推移が続いているものの、変動費率の低下および、人件費等の固定費の削減が経常利益を押し上げた格好。季節調整値で見た売上高経常利益率は製造業、非製造業ともにデータが取得可能な1985年4-6月期以降、過去最高となった。
◆2013年4-6月期の全産業の設備投資(ソフトウェア除く、季節調整値)は前期比+2.9%と3四半期連続の増加となった。業種別に見ると、製造業では前期比▲0.6%と、5四半期連続の減少と停滞が続くものの、非製造業で同+4.7%と3四半期連続の増加となったことが全体を押し上げた。設備投資全体としては緩やかながら持ち直す格好とはなったが、企業収益が大幅に改善するなか、製造業では依然設備投資には慎重な姿勢が続いている。
◆今回の法人企業統計の結果を受けて、2013年4-6月期GDP統計2次速報(9月9日公表予定)は、一次速報から上方修正される見通しである。大和総研では、実質GDP成長率は前期比+0.9%(一次速報:同+0.6%)、年率+3.7%(一次速報:同+2.6%)と予想する。今回の法人企業統計の結果を受けて、設備投資は前期比+0.9%(一次速報:同▲0.1%)へと上方修正され、6四半期ぶりの増加に転じる見込みである。また、一次速報段階で実質GDPを大幅に押し下げていた民間在庫も、法人企業統計を受けて前期比寄与度▲0.2%pt(一次速報:▲0.3%pt)へと上方修正されるとみられる。
◆2013年4-6月期GDP二次速報は消費税率引き上げの重要な判断材料となる。予想通りの結果となれば、前期比年率+3%後半という高い成長率であること、一次速報段階での懸念材料であった設備投資がプラス転換することから、消費税増税の実現性が一層高まることとなるだろう。
このコンテンツの著作権は、株式会社大和総研に帰属します。著作権法上、転載、翻案、翻訳、要約等は、大和総研の許諾が必要です。大和総研の許諾がない転載、翻案、翻訳、要約、および法令に従わない引用等は、違法行為です。著作権侵害等の行為には、法的手続きを行うこともあります。また、掲載されている執筆者の所属・肩書きは現時点のものとなります。
執筆者のおすすめレポート
-
消費税増税の可否を検証する
1997年とは大きく異なる経済環境が消費税増税の下地に
2013年09月03日
-
消費税増税が経済に与える影響
現行法通りの増税実施が最適。小刻みな引き上げは非現実的。
2013年09月03日
同じカテゴリの最新レポート
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
高市政権における実質賃金上昇の鍵は?
政策・改革の推進で40年度までの実質賃金は年率1.2~1.6%程度に
2025年12月01日
最新のレポート・コラム
-
他市場にも波及する?スタンダード市場改革
少数株主保護や上場の責務が問われると広範に影響する可能性も
2025年12月03日
-
消費データブック(2025/12/2号)
個社データ・業界統計・JCB消費NOWから消費動向を先取り
2025年12月02日
-
「年収の壁」とされる課税最低限の引上げはどのように行うべきか
基礎控除の引上げよりも、給付付き税額控除が適切な方法
2025年12月02日
-
2025年7-9月期法人企業統計と2次QE予測
AI関連需要の高まりで大幅増益/2次QEでGDPは小幅の下方修正へ
2025年12月01日
-
ビットコイン現物ETFとビットコイントレジャリー企業株式
2025年12月05日

