サマリー
◆2013年6月の日銀短観では、業況判断DIは大幅な改善を示した。内訳を見ても広い業種で業況が改善しており、景気改善の動きを確認する内容であった。前回調査では改善が見られなかった中小企業製造業の業況が改善し、設備投資計画も上振れするなど、総じてポジティブな内容であった。
◆大企業・製造業の「業況判断DI(最近)」は+4%ptと前回(▲8%pt)から大幅に改善し、市場コンセンサス(+3%pt)を上回った。「石油・石炭製品」以外の全ての業種で前回調査から改善しており、非常に良い内容。大企業・非製造業の「業況判断DI(最近)」は+12%ptと前回調査(+6%pt)から改善し、市場コンセンサス(+11%pt)を上回った。企業関連業種では、輸出、生産の持ち直しを受けて、「運輸・郵便」、「情報サービス」、「対事業所サービス」が改善した。家計関連業種に関しても、「小売」は前回調査から横ばいとなったものの、「対個人サービス」、「宿泊・飲食サービス」では改善しており、総じて堅調。
◆2013年度の大企業・全産業の経常利益計画は前年比+8.4%となった。製造業(前年比+14.6%)、非製造業(同+3.7%)ともに増益を見込んでおり、なかでも製造業の高い伸びが全体を押し上げる計画となっている。なお、2013年度の想定為替レート(大企業・製造業)は91.20円/ドルと前回調査(85.22円/ドル)から円安方向に修正された。ただし、足下の為替水準からすると依然保守的な前提となっており、輸出向け売上および利益の上振れ余地が大きい。
◆大企業・全産業の2013年度の「設備投資計画(含む土地、除くソフトウェア)」は、前年比+5.5%となり、前回調査から上方修正された。業種別に見ると、製造業が同+6.7%、非製造業が同+4.9%と、製造業、非製造業ともに増加を見込んでいる。生産・営業用設備判断DI(全規模・全産業)は+5%ptと、前回調査から▲1ptの低下(改善)、先行きについても製造業を中心に改善を見込んでおり、企業の設備投資意欲が徐々に改善していることが確認された。
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